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事業所報

2020/09/24

著者Author :アステル

THE ASTER TIMES 2020.10 vol.26

 

 相続特設サイトをリニューアルいたしました 

従前より、弁護士法人アステル法律事務所には「高齢者見守りサポートサイト」という名称の相続分野のウェブサイトがありました。この度、これを全面的に改訂し、「相続特設サイト」として公開いたしました

https://aster-mimamori.net/)。

サイトリニューアルを記念し、今号は、相続法改正特集です。

皆様ご存じかもしれませんが、「相続法」といっても、そのような法律があるわけではありません。民法を基軸に相続に関する各種法律の整備が一体的に行われたもので、これらをまとめて通称「相続法」と呼んでいるものです(このような通称名は他の場面でもよく使われます。)。

今回の相続法改正は昭和55年以降の大改正でした。多数の改正がなされましたが、そのうち、皆様からお尋ねの多い配偶者居住権の話と遺産分割をする前の処分の話を取り上げます。

また、今年7月10日からスタートした「自筆証書遺言書保管制度」という新制度も注目されます。「終活」という言葉はブームを過ぎてすっかり社会に馴染んだ感があり、自筆の遺言を遺す方も増えたのではないかと思います。自筆遺言の有効性が争われることは少なくありませんが、この新制度が紛争防止に一役買ってくれることを期待したいと思います。

もっとも、新制度下でも、遺贈について受贈者が先に亡くなった場合に自動的にその相続人が受贈者となるわけではないということが認識されていなかったり、配偶者を介して血縁関係のない連れ子に財産が流れたり、思わぬ早世で子に特別代理人(親権者は代理できません。)

をつける手続きを要したりと、様々な問題が生じえます。

弁護士に寄せられる相続のご相談は、紛争が悪化し親族間対立が深まってしまったものが大半です。早期にご相談いただいていれば、よりご相談者様のご要望にかなう方法がお示しできたというものも少なからずあります。今回のサイトリニューアルが、皆様にとって弁護士に相談する1つのきっかけとなれば幸いです。

当事務所は東京オフィスを設けていますので、コロナ禍で移動が自粛されるいま、関東圏のお客様からのご依頼で熊本の相続財産を処理する等の事件処理が可能です。また、事業承継を得意とする弁護士や不動産関係を得意とする弁護士等、必要に応じて複数弁護士が連携して対応することができるのも強みです。

新型コロナ対策として電話相談も実施しておりますので、ぜひお気軽に弁護士法人アステル法律事務所をご活用ください。

 

弁護士 福井春菜

 

 

配偶者居住権と配偶者短期居住権について

1 配偶者居住権について

(1) 改正の経緯

平均寿命の伸長により、相続開始時点における配偶者の年齢が相対的に高まってきました。高齢の配偶者にとって、住み慣れた居住環境での生活を継続するために居住権を確保するニーズが高く、かつその後の生活資金として、建物以外の財産も一定程度の確保を希望する場合が多いです。しかし、遺産分割協議で配偶者が建物の所有権を取得した場合、建物の評価が高額であれば、建物以外の財産を十分に取得できないおそれがありました。そこで、遺産分割の際に、低廉な価額で配偶者の建物居住権の確保を可能にするため、「配偶者居住権」の制度が新設されました。

(2) 改正の概要

遺産分割の際に、配偶者が「配偶者居住権」を取得することで、たとえ建物の所有権自体の取得が難しくとも、居住を継続できるようになりました。取得額が居住建物の所有権よりも低廉になるため、遺産分割や遺贈等により配偶者居住権を取得しても、配偶者はその他の遺産を取得しやすくなります。

(3)配偶者居住権の成立要件

① 配偶者が相続開始時に遺産である建物に居住していた

 こと

 「配偶者」には、内縁の配偶者は含まれません。

② 建物が被相続人の単独所有あるいは配偶者と2人の

 共有にかかるものであること

 建物が、被相続人と配偶者以外の第三者を含む共有状態

 であった場合は、この要件を満たしません(他の共有持

 分権者の利益を保護するためです。)。

③ 当該建物について、配偶者に配偶者居住権を取得させ

 る旨の遺産分割、遺贈(又は死因贈与)がされたこと

 「遺産分割」には協議や調停だけでなく、審判によるも

 のも含まれます。 

2 配偶者短期居住権について

⑴ 配偶者居住権の問題点

前記の通り、配偶者居住権にはいくつかの要件があり、配偶者が取得できないケースや取得までに時間がかかる場合が想定されます。

そこで、改正民法では「配偶者短期居住権」が併せて創設され、一定の要件を満たせば、法律上当然に配偶者短期居住権を取得し、居住建物に無償で住み続けることができるようになりました。

⑵ 配偶者短期居住権の成立要件

 ① 被相続人の配偶者であること

  配偶者居住権と同様に、内縁の配偶者は含まれません。

 ② 被相続人の財産に属した建物に相続開始の時に無償で

  居住していたこと

  「居住していた」とは生活の本拠としていたことを意味し

  ます。そのため、配偶者が病気のため一時的に入院してい

  た場合等もこの要件を満たします。

⑶ 配偶者短期居住権の特徴

ア 存続期間

配偶者短期居住権の存続期間は、居住建物について配偶者を含む共同相続人間で遺産分割をすべき場合かどうかによって異なります。

居住建物について配偶者を含む共同相続人間で遺産分割をすべき場合は、①遺産分割により居住建物の帰属が確定した日または②相続開始時から6カ月を経過する日のいずれか遅い日までの間となります。それ以外の場合、居住建物を取得した者が配偶者短期居住権の消滅の申入れを行った時から6カ月が経過するまでとなります。

イ 具体的相続分との関係

配偶者短期居住権はあくまで暫定的な配偶者の保護のための権利ですから、配偶者の具体的相続分からその価値を控除する必要はありません。

3 おわりに

配偶者居住権は相続法改正の目玉とされており、相続開始後も居住建物に住み続けたいという配偶者にとって、有益な選択肢を増やす改正となりました。

この制度は、令和2年4月1日以降に生じた相続に適用されます。被相続人の配偶者の方が建物への居住継続をご希望され、それに伴う遺産分割トラブルの発生が見込まれる場合は、是非 弁護士法人アステル法律事務所にご相談ください。

 

弁護士 金子善幸

 

遺産分割前の預貯金の払戻しと遺産分割前に遺産を処分した場合


  1. 1.遺産分割前の預貯金の払戻し

1)改正の経緯

従来、被相続人の預貯金は相続開始と同時に各相続人の法定相続分に応じて当然に分割され、遺産分割の対象外と考えられていました。しかし、平成28年12月19日の最高裁決定により、預貯金も遺産分割の対象に含まれることになり、相続人全員の同意がなければ預貯金を引き出せないことになりました。

これでは、被相続人の葬儀費用や被相続人の扶養者の当面の生活費等、遺産分割前に預貯金を引き出す必要があるときに問題が生じてしまいます。そこで、各相続人が、遺産分割前に、単独で、一定額の範囲で預貯金を引き出せる制度が新設されました(民法第909条の2)。

2)  改正概要

ア. 引き出せる金額(民法第909条の2前段)

1つの口座から各共同相続人が単独で引き出せる預貯金の額は、以下の方法で計算します。

 

【死亡時の預貯金の額】×1/3×その共同相続人の法定相続分

 

 

ただし、一つの金融機関からは、150万円までの引き出ししかできません。一つの金融機関に複数の口座がある場合でも、合計150万円が上限となります。

例えば、お父さんが亡くなり、相続人がお母さんと子供3人だった場合、お母さんの法定相続分は1/2、子供たちの法定相続分はそれぞれ1/6です。お父さんの預貯金額と各相続人が引き出せる金額の例をみてみましょう。網掛け部分は、150万円の上限規制です。

イ. 引き出した場合の効果(民法第909条の2後段)

各相続人が引き出した預貯金については、その相続人が、遺産の一部を分割して取得したものとみなされます。したがって、各相続人は、遺産分割協議後、具体的相続分と引き出した金額の差額を取得することになります。引き出した金額が具体的相続分を超える者は、当該超過額について清算する義務を負います。

先程の表の例では、お父さんの預貯金額は合計7560万円です。この他に6000万円の借金があったとします。差し引き計算した相続財産は、債権1560万円になります。法定相続分どおりに相続する旨の遺産分割協議が成立した場合、お母さんの具体的相続分は780万円、子供たちは各260万円になり、遺産分割協議成立後、この金額と引き出していた額との差額を受け取ることになります。

例えば、子①が各銀行から引き出せる全額計320万円を引き出していた場合、260万円を超えた60万円分を、他の相続人に交付する義務を負います。実務的には、遺産分割協議の中で、この清算義務についても、誰にいくら交付するのか、内容を明確に定めることになるでしょう。

 


  1. 2.遺産分割前に遺産を処分した場合(民法第906条の2

     

現行の実務では、遺産分割は、①被相続人が相続開始時に所有し、②遺産分割時に存在する、③未分割の、④積極財産を共同相続人で分配する手続と考えられています。

この点、預貯金の払戻、不動産共有持ち分の譲渡、動産の毀損・滅失等、相続人一人が遺産分割の前に遺産の一部を処分した場合について、明文規定はないものの、相続人全員の同意がある場合にかぎり、これらを遺産分割の対象とするものとされていました。しかし、実際には処分した相続人の同意が得られないことが多く、別途遺産確認の訴えが必要になる等、不都合が指摘されていました。

今回の改正では、処分された遺産の一部について、相続人全員の同意がある場合に遺産分割の対象にできることが明文化されるとともに、処分をした相続人以外の相続人全員の同意さえあれば、遺産分割時に遺産として存在するものとみなし、遺産分割の対象とすることができることになりました。

 

弁護士 池邉瑞和

 

 

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