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事業所報

2021/07/12

著者Author :アステル

THE ASTER TIMES 2021.7 vol.29

 

社外取締役のすすめ

第1 背景

令和3年6月11日に、コーポレートガバナンス・コードが改定されました。改定の柱の一つに取締役会の機能発揮があげられており、一定の上場会社は、取締役会の3分の1以上を独立社外取締役(社外取締役であって、会社法施行規則2条3項5号ロの要件を充足する者)とすることが義務付けられました。

また、令和3年3月1日施行の改正会社法においても、一定の会社について社外取締役の設置が義務化されました。

コーポレートガバナンス・コードの改定や、会社法改正による社外取締役設置義務化は、主に上場会社を対象とするものですが、これらの背景にあるコーポレートガバナンス強化の必要性は、当然、上場企業に限られるものではなく、すべての企業に求められるところです。

第2 非上場会社における社外取締役に期待される役割

経済産業省策定のコーポレート・ガバナンス・システムに関する実務指針(以下「CGSガイドライン」といいます。)においては、社外取締役に期待される役割・機能の例として、経営戦略・計画の策定への関与、指名・報酬決定プロセスへの関与、利益相反の監督、株主やその他のステークホルダーの意見の反映、業務執行の意思決定への関与、内部通報の窓口や報告先となることが挙げられています。

これらの役割のうち、特に、経営戦略・計画の策定への関与、利益相反の監督、ステークホルダーの意見の反映、業務執行の意思決定への関与、内部通報の窓口や報告先となることは、非上場会社においても該当するものと考えられます。取締役会は、各取締役の有するスキル・資質の組み合わせによってその機能を発揮するものですから、取締役会全体として必要な資質・背景を備えさせるという観点から、上記役割を補完できる人材を社外に求めることは合理的です。

第3 社外取締役の類型

上記の役割を考えますと、社外取締役には、独立性、自社にない多様な価値観を反映させるダイバーシティ、取締役会・社外取締役全体として必要な資質・背景を備えさせる機能が期待されます。

CGSガイドラインでは、期待される役割・機能や求められる資質・背景に応じて、①経営経験型(現役の会社経営陣やその退任者等)、②専門知識型(法曹、会計士、学者、行政経験者等)、③属性着目型(性別(女性)、国籍(外国人)、その他(年齢、民族、信仰)等)の3つのタイプに分類することもできるとしています。

第4 社外取締役のすすめ

弁護士は、法律の専門家として、上記タイプ②:専門知識型にあたりますが、それだけでなく、例えば女性弁護士であれば、女性という属性に属する観点からの意見を反映することが可能です(タイプ③:属性着目型)。また、各弁護士は、それぞれに注力分野を有しており、様々な事件に対応する中で種々様々な業務分野における経験を有していますので、それらの経験を活かすことも期待できます。

これまで社外取締役はじめ社外役員を検討されてこなかった企業の皆様も、これを機に導入を検討されてはいかがでしょうか。

東京オフィス 弁護士 平島有希

 

自転車損害賠償保険等への加入義務化について

第1 はじめに

日常生活で、自転車は非常に身近で便利なものです。熊本は車社会ですが自転車の利用も多く、特に学生であれば毎日のように乗られている方も多いかと思います。

熊本県では、令和3年10月1日以降、他人の生命又は身体の損害を賠償する自転車損害賠償保険等(以下「自転車保険」と言います。)への加入が義務付けられます(東京都では令和2年4月1日以降、すでに義務化されています。)。

本稿では、これを機に自転車トラブルについてお話ししようと思います。

第2 自転車トラブルについて

自転車は、車ほどではなくとも速いスピードで動き、かつ頑丈な素材で作られた、言わば「凶器」ともなり得るものです。

事故が発生し、不幸にして打ち所が悪かった場合、後遺障害が残る大怪我や生命の危険にまで関わる事態に発展し得ます。このような場合、被害者に発生する損害額が数千万円以上にのぼることもあります。

この責任は原則として加害者本人が負いますが、加害者が責任能力を有していない年齢(12歳程度までが目安)であった場合、その監督義務者である親権者等が代わって責任を負います(民法714条1項)。すなわち、ご自身の与り知らぬところでお子様が事故を起こした場合ですら、多大な責任を負うことになりかねません。また、責任能力を有していても、未成年者であれば支払能力に欠ける場合が殆どで、適切な被害者保護がなされないケースも多くありました。

第3 自転車事故に備えた保険

上記の問題意識から全国的に自転車保険への加入義務化の流れが進み、熊本でも「熊本県自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例」にて以下の規定が新設されました。

(自転車利用者の自転車損害賠償保険等への加入)

11条 自転車利用者(未成年者を除く。以下この条において同じ。)は、自転車損害賠償保険等(自転車の利用によって他人の生命又は身体を害したときに生じた損害を賠償する責任が発生した場合に、これによる損害を填補することができるものに限る。以下「自転車損害賠償保険等(生命身体)」という。)に加入しなければならない。ただし、当該自転車利用者以外の者により当該自転車の利用に係る自転車損害賠償保険等(生命身体)への加入の措置が講じられているときは、この限りでない。

上記と類似の義務が、保護者(第12条)、事業者(第13条)及び自転車貸付業者(第14条)にも課せられています。また、自転車小売業者には、自転車購入者が自転車保険に加入済みか確認し、未加入の場合は情報提供すべき努力義務が課せられます(第15条1・2項)。

同改正により、今後は自転車保険への加入の促進が期待されます。

第4 すでに加入されている保険に付帯している可能性も?

自転車保険の加入が義務化されるとはいえ、必ずしも「自転車保険」と銘打った保険に加入が必要なわけではありません。火災保険や自動車保険、勤務先の団体保険、PTA保険等に「個人賠償責任保険」が付帯されていることが多く、これは自転車事故も含めた様々な事故に対応可能です。自転車に点検日1年以内のTSマークが貼られていれば、TSマーク付帯保険も利用可能です。慌てて加入せず、この機会にご自身の保険を見直してみてください。

第5 おわりに

自転車事故に遭われ、加害者が未成年者であった場合等は、損害賠償を諦めてしまうこともあるかと思います。しかし、自転車保険の加入義務化により、加害者側の保険会社が賠償を肩代わりできる可能性が今後広がると思われます。

当事務所は交通事故案件(被害者側)を多く取り扱っており、もちろん自転車事故に関するご相談も対応可能です。お困りの際はお気軽にご相談ください。

熊本本店 弁護士 金子善幸

公益通報者保護法改正により内部通報体制構築が義務付けられます

第1 公益通報者保護法

内部通報制度とは、法令違反等の早期発見と未然防止を主たる目的として、会社内外の者からの申告を受け付け調査・対応する、会社内部に整備される制度です。内部通報制度に関する法律としては、正当な行為として公益通報を行った通報者を保護するために、通報者に対する不利益取り扱いの禁止等を定めた公益通報者保護法があります。

令和2年6月12日に、公益通報者保護法の一部を改正する法律(以下「改正法」といいます。)が公布され、同日より2年以内に施行されます。

改正法では、様々な事項が大幅改正されましたが、そのうちの1つとして、常時雇用する労働者の数が300人を超える事業者には、内部通報に対して適切に対応するために必要な体制整備の義務付けが新設されました(改正法11条2項)。なお、300人以下の事業者では、努力義務(改正法11条3項)とされています。内部通報体制の詳細は、正式な「指針」によって定められますが(改正法11条4項)、令和3年4月消費者庁より、指針の基となる「公益通報者保護法に基づく指針等に関する検討会報告書」(以下「指針案」といいます。)が、公表されました。

第2 指針案の概要

1 指針案では、事業者に対し、以下の事項を踏まえた内部通報体制を構築するよう求めています。

(1)部門横断的に対応する体制の整備

  ①部門横断的な窓口の設置

  ②組織の長その他の幹部からの独立性を確保する措置

  ③受付、調査、是正に必要な措置

  ④公益通報対応業務における利益相反の排除

(2)公益通報者を保護する体制の整備

    ①不利益な取扱いを防止する体制の整備

    ②範囲外共有等を防止する体制の整備

(3)内部公益通報対応体制を実効的に機能させるための措置

 ①労働者及び役員並びに労働者に対する教育・周知。

 ②是正措置等の通知

 ③記録の保管、見直し・改善、運用実績の労働者及び

 役員への開示

 ④内部規程の策定及び運用

2 紙面の都合上、上記のうち(1)①部門横断的な窓口の設置、(1)④公益通報対応業務における利益相反の排除をピックアップし、ご紹介します。

 ①部門横断的な窓口の設置

指針案では、「事業者は、内部通報受付窓口を設置し、公益通報対応業務を行う部署及び責任者を明確に定めなければならない」と定めています。当該窓口は、内部だけでなく、法律事務所や親会社等の外部に設置することでも可能です。部署及び責任者を明確にすることで、適切・迅速な通報対応がなされることが期待されています。

 ②公益通報対応業務における利益相反の排除

指針案では、「事業者は、内部公益通報受付窓口において受け付ける内部公益通報に関し行われる公益通報対応業務(外部委託する場合も含む。)について、事案に関係する者を公益通報対応業務に関与させない措置をとらなければならない。」と定めています。指針案では、「関与させない措置」として、事案に関係する者であると判明した時点で調査や是正に必要な措置の担当から外す、公正さが担保できる部署のモニタリングを受けながら対応をする等の措置が挙げられています。

第3 おわりに

以上のとおり、改正法により、事業者は広い範囲で内部通報体制の見直しを行う必要があります。公益通報者保護法は、一義的には公益通報者を守るものですが、組織内の問題の早期発見と被害の拡大防止の観点からすれば、企業価値の向上につながるものといえます。

内部通報体制構築をご検討の際は、当事務所においてサポートさせていただきますので、ぜひお気軽にご相談ください

東京オフィス 弁護士 石川琴子

 

 

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