お知らせ
事業所報
2026/01/01
Author :アステル
THE ASTER TIMES 2026.1 vol.47
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新年あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。
アステル法律事務所は、設立から13年目に入り、弁護士8名、熊本本店と八代オフィスの2拠点体制で活動しております。皆様に特にお伝えしたい本年の注力事項は、以下の3つです。
1 ホームページのリニューアル
アステル法律事務所では、現在、本体ホームページに、交通事故、相続、労働、倒産の4つの特設サイトを併せ5つのホームページを展開しております。これらのホームページで、必要な法情報を分かりやすく皆様にお知らせすることに努めてまいりました。
しかし、一番古いサイトは開設から10年以上が経過し、規格が少し古くなったことから、閲覧者にスムーズに利用してもらうため、数サイトのリニューアルを行う予定です。
本体ホームページでは、顧問先様に利用いただける各種書式の提供サービスを展開しておりますが、ホームページリニューアルに併せて書式のさらなる充実も行えればと考えております。
2 LINE相談の対象拡大
アステル法律事務所では、昨年、相続分野に限定してLINE相談の運用を開始しました。熊本から離れた場所にお住まいの方や、お身体が不自由で来所相談が困難な方もいらっしゃり、来所に限らない法律相談のニーズが多く寄せられております。そのようなご要望にお応えするために、LINEを使って遠隔地からでも法律相談が受けられる対象を、相続分野だけでなく他の法律相談にも拡大することを検討しております。もっとも、法律相談は各種資料を参照しながら、間違いのないよう聞き取りをする必要もあることから、どのような内容のご相談にまで拡大できるのか等、慎重に検討すべき事項もございます。準備ができ次第、LINE相談の対象拡大について改めてお知らせいたします。
3 健康経営優良法人の認定申請
従業員の健康に配慮した経営をおこなう会社として経済産業省が認定する「健康経営優良法人」の申請を行っております。本年3月に認定結果が発表される予定ですが、アステル法律事務所は、従業員の健康増進による生産性の向上も目指し、ひいては依頼者の皆様のご要望により高いレベルでお応えできる態勢を整えていきたいと考えております。
本年も、アステル法律事務所は、熊本の皆様、そして熊本の企業の発展にお役に立てる法律事務所として、法務のサポートに力を入れていきたいと考えております。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
代表弁護士 下山 和也
労働者の入社に伴う労務管理のポイント
1 はじめに
企業が労働者を採用する際、一般には「採用活動→内定→入社」という流れをたどります。これらの各段階では、企業側の対応次第で、後に重大なトラブルへと発展するリスクを秘めています。採用の際の言動、内定取消しをめぐる紛争、入社時に取得した書面の不備などは、後日大きな労務トラブルへとつながりかねません。
また、入社時に取り交わす誓約書や身元保証契約書などの書面は、紛争発生時に企業側にとって重要な証拠資料となることも多く、形式的に用意すれば足りるというものではありません。本稿では、労働者の入社に伴う法務上の留意点について、実務上特に重要な点を中心に解説します。
2 採用の自由とその限界
企業には「採用の自由」があるとされ、誰を、どのような基準で採用するか(選択の自由)、何人採用するか(人数決定の自由)、公募か縁故か(募集方法の自由)などを原則として自由に決めることができます。
もっとも、この自由には法的な制約があり、たとえば男女雇用機会均等法により性別を理由とした不合理な差別は原則として禁止されています。また、年齢制限、婚姻歴、家族構成、出身地などに関する質問も、合理的な業務上の必要性がなければ問題となる可能性があります。
さらに、採用面接における不適切な言動が、ハラスメントや人格権侵害として紛争化するリスクもあります。採用担当者に対して、あらかじめ質問内容等についての社内ルールを設けておくことも重要といえます。
3 内定の法的性質と内定取り消し・内定辞退への対応について
内定の法的性質については、判例上、「始期付解約権留保付労働契約」が成立すると解されることがあります。これは、一定の条件の下で契約解消の余地は残しつつも、基本的には労働契約が成立していると評価されることを意味します。
そのため、企業が内定を取り消す場合には、単なる業績悪化や人事方針の変更といった理由だけでは足りず、客観的に合理的な理由があり、かつ社会通念上相当と認められる必要があります。
一方で、労働者側が内定を辞退する場合、企業としては損害賠償請求を検討したくなる場面もありますが、民法上、労働者には原則として契約解消の自由が保障されており、内定辞退が著しく信義則に反する特段の事情がない限り、企業からの損害賠償請求は困難と考えられます。
4 身元保証契約について
入社時に身元保証人を求める企業も少なくありません。身元保証契約とは、労働者の故意または過失により企業に損害が発生した場合に、身元保証人にもその損害を負担させる内容の契約です。
ただし、身元保証人の責任は無制限ではなく、保証期間の上限設定や、極度額の明示が求められます。また、企業は、労働者に重要な変更が生じた場合などには、保証人への通知義務も負っています。形式的に書類を整えるだけでなく、法律に沿った適切な運用がなされていなければ、実際には無効と判断されるリスクもあります。
5 おわりに
以上のとおり、労働者の入社手続は単なる事務処理ではなく、企業にとって重要な法的リスク管理の場面といえます。最初の段階での対応の誤りが、解雇無効、損害賠償請求といった形で顕在化することもあります。本年2月26日開催予定の事務所セミナーでは、具体的な事例をもとに、実務に直結するポイントを解説いたしますので、ぜひご活用ください。
八代オフィス 弁護士 村井 帝斗
賃金総額から基本給等を控除した額を割増賃金とする給与体系の適法性
(最判令和5年3月10日)
1 はじめに
労働基準法37条において、使用者は時間外・休日・深夜労働に対しては所定の割合をかけた割増賃金を支払わなければならないとされています。その支払方法について過去の判例では、労働基準法37条に定められた方法以外で手当を時間外労働等に対する対価として支払うことができるとしつつ、「通常の労働時間の賃金に当たる部分と同条の割増賃金に当たる部分とを判別することができることが必要である」とされ、対価性と明確区分性を有する必要があると判断されています。
本件では、運送会社が従来、運航内容等によって賃金の総額を決定した後、その総額から定額の基本給と歩合給を差し引き、残額を時間外手当として従業員に支給するという方法(以下「旧給与体系」といいます。)を取っていました。その後会社は規定を改定し、基本給が増額された一方、基本歩合給が大幅に減額され、新たに調整手当が導入された規定(以下「新給与体系」といいます。)に基づき賃金を支払うようになっていたのですが、同社でトラック運転手として働いていた元従業員が賃金等が不足していたとして、その支払いを求めて提訴しました。
裁判では、①新給与体系に代わって以降、割増賃金についてどのような合意があったといえるか②通常の労働時間の賃金はいくらか③月所定労働時間は何時間か④割増賃金の既払額はいくらかが問題となりました。
2 裁判所の判断
一審判決は、①新給与体系は相応の合理性を有し、これに基づいて割増賃金を支払う合意があった②デジタルタコグラフにより適正に労働時間を管理して時間外手当を支払っていたのであり、対価性と明確区分性を有する③就業規則に基づき月173.33時間である④時間外手当が割増賃金の既払額に該当すると判断しました。二審判決は、一審判決で認容された額について被告が支払ったとして、原告のその他の請求を棄却しました。
最高裁は、主に①の点につき以下のとおり判断しました。
割増賃金としての対価性につき、「雇用契約に係る契約書等の記載内容のほか、具体的事案に応じ使用者の労働者に対する当該手当等に関する説明の内容、労働者の実際の労働時間等の勤務状況などの諸般の事情を考慮して判断すべきであ」って、「その判断に際しては労働基準法37条が時間外労働を抑制しようとするとともに労働者への補償を実現しようとする趣旨による規定であることを踏まえたうえで、当該手当の名称や算定方法だけでなく、当該雇用契約の定める賃金体系における当該手当の位置づけ等にも留意して検討しなければならない」としました。そのうえで、本件では割増賃金の一部に時間外労働に対する対価として支払われているものを含むとしても、通常の労働時間の賃金として支払われるべき部分も多く含むとして割増賃金が支払われたとはいえない旨判示し、控訴審に差し戻しました。
3 おわりに
本判決は、上記の通り割増賃金の対価性について一定の判断を下したものとして参考となります。本件の会社のように、就業規則において割増賃金について一定の定めを置いていたとしても、割増賃金の支払いとは認められない可能性がございます。長期間未払残業代が発生しており、後からそれを請求されたような場合には大きな経営リスクとなりかねません。支給規定等が法的に問題ないものであるかご不安のある方はぜひアステル法律事務所にご相談ください。
熊本本店 弁護士 渡辺 隆大
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