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企業法務トピックス

2020/02/18   企業法務トピックス   持分会社  

持分会社の社員の責任

1. 責任の内容

1) 連帯責任

持分会社(合名会社、合資会社、合同会社)が倒産状態になった場合、具体的には、①持分会社の財産をもって会社の債務を完済できなくなった場合(債務超過)、または、②持分会社に対する強制執行が奏功しなかった場合(持分会社に資力があり、かつ、強制執行が容易であることが証明された場合を除く)には、持分会社の出資者である社員は、連帯して持分会社の債務を弁済する責任を負います(法580条1項)。

2) 社員の立場による責任の違い

持分会社の社員には、無限責任社員と有限責任社員が存在しますが、このうち無限責任社員は、上記の場合に、会社債権者に対し無制限の責任を負います。これに対し、有限責任社員の責任は、その出資の価額(持分会社に対して既に履行した出資の価額を除く)が限度となります(法580条2項)。
持分会社のうち、有限責任社員が存在するのは合資会社と合同会社ですが、このうち合資会社については、社員となる際に全額の出資を履行していることが要件とされていませんので有限責任社員に未履行の出資の価額が残っている場合があります。その場合に、合資会社が倒産状態となったときは、出資の履行を終えていない有限責任社員は、会社債権者に対し直接に未履行の出資の限度で会社の債務を弁済する責任を負います(直接有限責任)。
これに対し、合同会社では、株式会社と同様に社員は、社員となる前に出資全額の履行をしなければならないとされています(法578条、604条3項)。そのため、合同会社では、会社法のルールを守っている限り、未履行の出資の価額はありませんので、社員は会社債権者に対して直接に弁済責任を負うことはありません。このため、合同会社の社員は、万一、合同会社が倒産した場合でも、合同会社に対する出資が無価値となるという意味で損失が生じますが、会社債権者に対しては原則として直接の責任を負うことはありません。

3) 補充的責任

社員の責任は、持分会社が債務を完済できない場合等に生じる二次的な責任であり、民法が定める保証人の責任に類似します。持分会社の債務が時効で消滅すれば、社員の責任も消滅します。また、持分会社が債権者に対して相殺権、取消権、解除権等の各種抗弁権を有している場合には、社員は、これを主張して債務の履行を拒絶することができます(法581条)。

2. 責任の変更

1) 社員の立場の変更

社員の立場(有限責任・無限責任の別)は定款記載事項のため、定款変更により、変更することができます。なお、合名会社(無限責任社員のみで構成)、合資会社(無限責任社員及び有限責任社員で構成)、合同会社(有限責任社員のみで構成)という持分会社の種類は、各会社の社員(出資者)の責任の内容で区分されるため、定款変更により社員の責任を変更することで持分会社の種類が変わることもあります。
もっとも、社員の責任の内容は持分会社の債権者の利害に関わるものです。このため、利害を適切に調整するために次のようなルールが定められています。
① 有限責任社員が無限責任社員となった場合は、無限責任社員となる前に生じた持分会社の債務についても無限責任社員として弁済する責任を負います(法583条1項)。
② 無限責任社員が有限責任社員となった場合には、その旨の登記をする前に生じた会社債務については、無限責任社員として弁済する責任を負います(法583条3項)。ただし、この責任は、変更の登記後2年以内に請求または請求の予告をしない債権者に対しては、その変更の登記後2年を経過した時に消滅します(法583条4項)。

2) 出資の価値の変更

持分会社の各社員が出資すべき金額(出資の価額)は、定款記載事項であるため(法576条1項6号)、定款変更(法637条)によって変更することができます。
もっとも、合資会社の有限責任社員は、上記1(2)のとおり、未履行の出資の価額の限度で、合資会社の債権者に対する直接責任を負います(法580条1項、2項)。この点、定款変更により有限責任社員の出資の価額を減少させることで、この社員の債権者に対する責任も当然に減少するとすれば、債権者の利益が害されることになります。
そこで、有限責任社員の出資の価額の減少をした場合には、出資の価額の減少の登記をする前に生じた合資会社の債務について、当該有限責任社員は、減少前の責任の範囲内で、弁済する責任を負うとされています(法583条2項)。ただし、この責任も登記後2年以内に請求または請求の予告をしない債権者に対しては、その変更の登記後2年を経過した時に消滅します(法583条4項)。

3. 誤認行為の責任

有限責任社員が自らを無限責任社員であると誤認させたり、社員でない者が社員であると誤認させるなど、取引の相手方を誤認させる行為をした場合には、誤認行為の内容に応じ、責任を負います(法588条、589条)。
具体的には、合名会社・合資会社の無限責任社員でない者が、無限責任社員であると誤認させる行為をしたときは無限責任社員と同一の責任が生じます。また、合資会社・合同会社の有限責任社員でない者が有限責任社員であると誤認させる行為をしたときや、有限責任社員が自らの責任の限度を誤認させる行為をしたときは、誤認させた責任の限度で会社の債務を弁済する責任を負います。

 

 

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