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労働法トピックス

2022/08/26   その他紛争解決手段   労働法トピックス  

解雇した労働者から賃金仮払い仮処分を申し立てられた場合の対応

 

1 賃金仮払い仮処分とは

 解雇された労働者が、解雇の有効性を争う場合、裁判所に救済を求める手続きとして、通常訴訟、労働審判のほか、保全訴訟としての賃金仮払い仮処分を申し立てることができます。

 賃金仮払い仮処分は、簡易・迅速な審理により、通常訴訟と比較して短期間(3ヶ月程度)で、裁判所が仮の措置を命じる手続です。労働者の申立てが認められたときは、使用者は、多くの場合、1年間ないし本案訴訟の第1審判決の言い渡しまでの間、賃金の仮払いを命ぜられることになります。

 

2 賃金仮払い仮処分の要件

 期日において、労働者が、①被保全権利の存在(賃金請求権の存在)と②保全の必要性を主張・疎明しますので、使用者は、これに反論する必要があります。①被保全権利の存在について、使用者は、多くの場合、解雇が有効であることを主張・疎明することになると思われますが、②保全の必要性について、どのような反論をすべきでしょうか。

 

3 保全の必要性

(1)保全の必要性の判断基準

保全の必要性は、賃金が支払われないことによって、労働者及びその家族らの生活が危機に瀕し、本案判決の確定を待てない状況に陥っているか、又はそのおそれがある場合において、この状態を一時的に救済する必要があるときに認められます。具体的には、資産の有無、他からの固定収入の有無、同居家族の収入の有無等を考慮して、生活が困窮し、回復し難い損害を被るおそれがあるか否かを判断し、これと仮払いを認めることにより使用者が被る不利益とが比較考量されることとなります。

 労働者は、使用者からの賃金が唯一の生計手段であり、使用者から賃金が支払われないことで無収入となって経済的に困窮している等と主張することが多いと思われます。

(2)使用者からの反論

もっとも、賃金仮払い仮処分が認められた場合、労働者は仮払いされた金銭を生活費等として消費してしまうこと、また、担保を立てさせないで発令されるのが通例であることから、使用者は、本案訴訟で勝訴するなどして仮処分が取り消されても、事実上その返還を受けることが困難になります。そのため、強度の保全の必要性が求められ、労働者側に相当程度の資産(預貯金等)・固定収入がある場合には、保全の必要性が否定され、あるいは仮払い額が減額される可能性があります。そのため、使用者は、保全の必要性について、極力反論していくべきです。具体的に、以下の事情を検討することが保全の必要性に対する反論として有益であると思われます。

 ①労働者が預貯金等の十分な資産を保有しているか否か。

 ②労働者が他の勤務先から賃金の支払を受けているか否か。

 ③近時、副業を行っている労働者も一定数いることから、副業の有無。

 ④近時、共稼ぎの家庭が一般的となっているため、労働者の配偶者の収入の有無。

 ⑤年金収入等を有する親と同居している場合も散見されるため、労働者が親と同居しているか否か及び親の収入の有無。

 ⑥労働者が失業保険や生活保護等を受給しているか否か。

 

4 賃金仮払い仮処分事件の進行について

 賃金仮払い仮処分が申し立てられた場合、通常訴訟と比較して短期間で裁判所による審理・判断が行われ、使用者に対しても主張書面や証拠の速やかな提出が求められます。また、審理の途中に、裁判官から和解勧試がなされる場合があります。適切に対応するために、賃金仮払い仮処分が申し立てられた場合には、速やかに弁護士にご相談されることをお勧めします。

 

賃金仮払い仮処分事件への対応にお困りの際は、アステル法律事務所までご相談ください。

以上

 

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