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2022/12/02   新法・法改正・判例紹介トピックス   法改正  

相続放棄した人の財産管理義務

1 旧法下での問題点

旧法下では、相続放棄をしたとしても、放棄をした人は、自分以外の相続人や自分の相続放棄により相続人となった人(次順位の相続人)が相続財産の管理を始めるまで、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産の管理を継続しなければならないとされていました。

その一方で、相続人の全員が放棄をしてしまった場合に誰がどのような財産管理義務を負うのかという点は明らかではありませんでした。

また、住んでもいない(現に占有していない)荒れ果てた空き家や放棄された土地などを、相続放棄しても引き続き面倒見続けないといけないというのは酷ではないか、そこまでの意図は旧法でも含まれていないのではないか、といった議論が生じていました。

 

2 相続放棄者の財産管理義務(保存義務)の明確化

⑴ 義務を負う人 ―「現に占有している」人に限定

改正法では、相続放棄をした人すべてに一律の財産管理義務を課すのではなく、相続放棄の時に「相続財産に属する財産を現に占有しているとき」に限ることとされました。これにより、管理に一切関与していないような財産についてまで義務を負わされるという不利益を回避できるようになりました。

⑵ 義務の内容 ―消極的な保存義務

前記⑴で「現に占有している」からということで財産管理義務を負う場合、どのような管理をすればよいのかといった点についてですが、改正法では「保存しなければならない」(保存義務)とされています。

ここでいう「保存」とは、その財産を滅失させたり、損傷させたりしてはいけないということを意味しており、積極的に修繕するようなことまでは含まれないと解されています。

⑶ 義務の程度 ―自己の財産におけるのと同一の注意

前記⑵記載の保存義務を負う場合、財産を滅失させたり損傷させたりしないようにする注意義務を負うことになりますが、この注意義務の程度は、「自己の財産におけるのと同一の注意」とされています。

相続放棄においては、放棄するかどうか熟慮する期間が与えられていますが、この熟慮期間中にも「その固有財産におけるのと同一の注意」(918条)をしなければならないとされています。

つまり、たとえ結果的に相続放棄したとしても、相続するかもしれない(自己の財産になるかもしれない)ということを前提にしている場合と同じ程度の注意を払わなければならないということです。

 ⑷ 義務を負う期間 ―引き渡すまで

保存すべき期間としては、相続人や相続財産の清算人(民法952条1項)に財産を引き渡すまでとされています。

他に相続人がいる場合には、そのうちの誰か1人に対して引き渡せば、あとは義務を免れます。

他方、相続人がいないような場合には、相続財産清算人に引き渡すことになります。もっとも、清算人が選任されていないのであれば、保存義務を負う放棄者が相続財産管理人の選任を申し立てて、選任された管理人に引き渡すことで終了させることも考えられるところです。

⑸ 相続人が引渡しの受領を拒んだ場合等 ―供託

前記⑷のとおり他に相続人がいるとして、相続人に対して引き渡そうとしても、相続人が引渡しの受領を拒んだり、又は何らかの理由で受領できないような場合、放棄者は供託(民法494条1項1号又は同2号)により、義務を免れることができるとされています。

 

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