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2017/03/27   企業法務トピックス   新法   新法・法改正・判例紹介トピックス   新法・法改正・新判例紹介  

【新法紹介】会社分割等における労働契約承継法制の改正

 

 会社が会社分割により一部の事業を切り離すというときには,通常,その事業に従事する従業員の雇用契約も切り離されます。

 

 また,会社法は,分割する対象を事業自体(財産の有機的一体性があるもの)の分割ではなく,「事業に関して有する権利義務の全部または一部」としたため,切り離される事業に従事する従業員以外の従業員(「不従事労働者」と言われます。)も切り離すことができるような建付けとなっています。

 

 このため,従前より,不採算事業が切り離され,その不採算事業側の会社に残される従業員が保護されないのではないかという議論がなされてきました。そこで今回,こうした雇用契約の承継にあたってのルールが定められ,平成28年9月1日に施行されました。

 

 今回改正されたルールが定められているのは,通称「改正承継法施行規則」(H28厚労省令140号),「改正承継法指針」(H28厚労省告示317号),「事業譲渡等指針」(H28厚労省告示318号)です。

 

 会社分割における改正ルールのポイントは主に次のとおりです。

 

①不従事労働者も5条協議の対象者になる

 会社は,「5条協議」と呼ばれる協議において,会社分割によって雇用契約が承継される従業員に対し,会社分割に関する様々な情報を説明し協議しなければならないこととされています。
 これまで,この「5条協議」の対象者は,もともとその事業に従事する従業員でした。しかし,不従事の従業員も承継の対象となりうる以上,協議の対象となるべきであるとして,今回の改正承継法指針で対象者に含まれることとなりました。
 ※なお,5条というのは商法等の一部を改正する法律(平成12年法律第90号の附則5条のことです。

 

②債務の履行の見込みについて説明しなければならない

 「5条協議」において説明・協議すべき事項としては,これまで,切り離される従業員が今後働くことになる会社の概要等が示されていましたが,今回,「債務の履行の見込みに関する事項」が加えられました(改正承継法指針2Ⅳ⑴イ)。
 これは,不採算事業側の会社に残ることになる従業員に会社の説明責任を果たさせるというものです。説明責任であって,実際に履行の見込みがあることが要求されているものではありません。

 

③5条協議違反により雇用契約の承継が無効になりうる

 5条協議違反は,会社分割自体の無効原因ともなりうるとされていますが,個別の従業員が自らの雇用契約の承継が無効であると争うこともできることが明記されました(改正承継法指針2Ⅳ⑴)。
 このため,承継される全従業員に上記②のような説明責任を果たしておくことが一層重要となります。

 

④転籍の同意を得ても手続きは省略できない

 上記のような手続は,従業員から個別に転籍の同意を得ていても省略できません(改正承継法指針2⑸イ)。
 また,転籍の同意による場合でも,雇用契約の承継は承継法の手続によることになるため,雇用条件は変わらないことになります。会社は,従業員に対して,これまでの雇用条件が変わらないということを説明し(改正承継法指針2⑸イ),分割通知にも示すべき(改正承継法規則1条2項)とされました。

 

 また,事業譲渡についての改正ルールについてですが,事業譲渡についても,会社分割と同等の手続きが適当であるとされました。

 

 事業譲渡は,会社分割と異なり,手続きの詳細が法定されていませんが,今回,同等の手続きが望ましいとされたものです(事業譲渡等指針2Ⅰ⑵イ,同2Ⅰ⑴イ)。

 

 事業譲渡の場合,承継される従業員の承諾または同意を得ることになりますが,その承諾や同意の任意性が争われることとなったときには,会社分割と同等に事前協議が十分に行われていたのかどうかというところが重要な判断要素になってくる可能性があります。

 

 つまり,事業譲渡の場合も,従業員への説明・協議状況が雇用契約の承継の有効・無効を左右しうるということです。

 

 以上のような改正ルールの内容から分かるとおり,会社分割や事業譲渡の手法を用いながら,不採算事業に残す従業員に実質的に解雇等の重大な不利益を及ぼしているのではないかという観点から,監視が厳しくなってきています。

 

 会社分割や事業譲渡にあたっては,従業員への十分な説明及び協議により従業員の理解を得る努力が今後ますます必要になりそうです。

 

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