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2022/10/28   破産トピックス   破産手続の流れ  

破産手続開始前の保全処分

 

破産手続は、破産手続開始決定により開始されます(破産法(以下省略)30条1項)。破産手続開始の申立てから破産手続開始決定との間にはタイムラグがありますが、これを利用し、債務者が財産の隠匿を行ったり、一部の債権者が自己の債権の回収を図ろうとしたりすることは、配当する破産財団を減少させ、破産手続の公平性を害することになります。そこで、破産法では、破産手続開始の申立て後破産手続開始決定までの間において、破産手続開始前の保全処分の制度を認めています。具体的には、他の手続の中止命令等(24条)、包括的禁止命令(25条)、債務者の財産に関する保全処分(28条)、保全管理命令(91条)、否認権のための保全処分(171条)、役員の財産に対する保全処分(177条2項)があります。

実務上は早期に破産手続開始決定がされ、その効果が及ぶことから保全処分が用いられることはあまりないといわれていますが、本稿では、債権者が債務者につき破産申立てをする場合に採りうる手段として、保全管理命令について説明いたします。

(1)保全管理命令とは

保全管理命令とは、債務者(法人に限る)の財産の管理及び処分が失当であるとき、その他債務者の財産の確保のために特に必要があると認めるときに、利害関係人の申立てにより又は職権で、債務者の財産に関し、保全管理人による管理を命ずる処分をすることができる裁判所の処分をいいます(91条1項)。

申立てができる利害関係人には、債権者、債務者が含まれますが、別除権者、取戻権者、債務者の株主等は含まれません。

保全管理命令は、債務者の財産の散逸防止等のために特に必要があるとき、破産手続開始決定前であっても、債務者の財産の管理処分権を保全管理人に与える制度であり、その発令には慎重な検討を要するとされています。

(2)発令の要件

①債務者が法人であること、②債務者の財産の管理及び処分が失当であるとき、または、その他債務者の財産の確保のために特に必要があると認めるときです。

②については、「債務者の財産の管理及び処分が失当であるとき」の典型例は、債権者から破産手続開始の申立てを受けた債務者が、自己名義の財産を第三者に移転させる行為を始めた場合などがあげられます。「債務者の財産の確保のために特に必要があると認めるとき」の典型例は、破産手続開始により営業許可が取り消されることを回避する必要がある場合です。また、重篤な入院患者の転院手続きをさせる必要がある病院の破産の場合も、当該要件に該当すると考えられます。

(3)効果

保全管理命令が発せられると、債務者の財産の管理処分権は保全管理人に専属します(93条1項本文)。保全管理人は、債務者の常務に属する行為は、裁判所の許可なく自由に行うことができます(93条1項ただし書参照)。常務に属する行為とは、例えば、債務者が事業を営んでいるときは、通常程度の原料の仕入れや製品の製造などがあげられます。

(4)その他

保全管理命令は、当事者への送達により効力が生じます(92条2項、3項)。債務者に確実に送達することが重要になりますので、送達方法に検討が必要です。

 また、破産の申立ての際、裁判所に対し、申立費用のほか予納金を納めますが、保全管理命令の発令を求める場合には、その金額が高額になる傾向にあるといわれていますので、費用面でも十分に検討する必要があります。

 

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