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2022/10/31   破産トピックス   破産手続の流れ  

破産手続開始の効果

1 はじめに

裁判所は、破産手続開始の申立てがあった場合において、破産手続開始の原因となる事実があると認められるときは、破産障害事由がある場合を除き、破産手続開始の決定をします(破産法(以下、法名省略。)30条1項)。

破産開始決定の効果として、破産者に影響するものは以下のとおりです。

 

2 財産の管理処分権の移転

 破産手続開始の決定により、破産者は破産財団に属する財産の管理処分権を失い、その権限は破産管財人に専属します(78条1項)。したがって、破産者が破産手続開始後に破産財団に属する財産に関してした法律行為は、破産手続の関係においては、その効力を主張することができません(47条1項)。すなわち、破産者が破産手続開始後に破産財団に属する財産を譲渡しても、破産管財人は、相手方の善意・悪意にかかわらず、この譲渡行為の効力を認めないことができます。

 

3 説明義務・重要財産開示義務・調査協力義務

 破産者は、破産管財人などから請求があったときは、破産に関し必要な説明をする義務があります(40条1項1号)。破産者の代理人(同項2号)、破産者が法人である場合はその法人の理事、取締役など(同項3号)、これに準ずる者(同項4号)、破産者の従業員(同項5号。但し、裁判所の許可がある場合)にも同様の義務があります。過去にこれらの地位にあった者も同様です(同条2項)。

 さらに、破産者は、破産手続開始の決定後遅滞なく、その所有する不動産、現金、有価証券、預貯金その他裁判所が指定する財産の内容を記載した書面を裁判所に提出しなければなりません(41条)。なお、自己破産事件では、破産申立書の添付書類として資産目録等を提出する必要があるため、実務上は、資産目録等の提出をもって上記の書面が提出されたものとして取り扱うのが通例です。

上記説明義務や重要財産開示義務に違反すると、刑事罰の対象となり得ます(268条1項、269条)。

また、個人の破産者が免責許可の申立てをしている場合には、免責についての調査協力義務を負い(250条2項)、上記説明義務、重要財産開示義務又は調査協力義務を怠った場合、免責不許可事由に該当します(252条1項11号)。

 

4 居住制限・引致

 破産者は、裁判所の許可を得なければ、その居住地を離れることができません(37条1項)。居住地を変更すること(転居)だけでなく、2泊以上の宿泊を含む国内の旅行・出張などが原則としてこれにあたり、行き先が海外であれば、1泊でもこれにあたると解されます。法人の理事など、破産者に準ずる者にも準用されます(39条)。

 また、裁判所は、必要と認めるときは、破産者の引致を命ずることができます(38条1項)。

 

5 郵便物の転送嘱託

 裁判所は、破産管財人の職務の遂行のため必要があると認めるときは、信書の送達の事業を行う者に対し、破産者宛の郵便物などを破産管財人に配達するよう嘱託することができ(81条1項)、破産管財人は、受け取った郵便物などを開いて見ることができます(82条1項)。

 

6 破産者の資格制限

 破産法には、破産者に対する資格制限を定めた規定はありませんが、各種法令上、破産者に対して、一定の資格制限が設けられています。

 破産手続開始が専門家資格の欠格事由及び登録取消事由となっているものとして、弁護士、公認会計士、弁理士、司法書士などがあります。

 破産手続開始が免許・許可・認定などの欠格事由、登録の拒否事由及び取消事由となっているものとして、宅地建物取引業者、警備業者及び警備員、生命保険募集人、損害保険代理店及び保険仲立人などがあります。

 また、私法上の資格制限として、後見人、後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人、補助監督人、遺言執行者などがあります。

 このように破産手続開始が欠格事由とされている地位に就いている者について破産手続が開始した場合には、破産手続開始決定の確定とともにその地位を失い、又は解任されるものと解されます。また、破産者は復権(255条以下)しない限りこれらの地位に就くことはできません。

 

7 株式会社の取締役・執行役・監査役・清算人の破産

 株式会社の取締役・執行役・監査役・清算人である者が破産手続開始決定を受けたときは、株式会社との間の委任契約は受任者の破産により当然に終了するため、取締役などは退任することになります(会社法330条、民法653条2号)。しかし、取締役などについて、破産手続開始は欠格事由ではないため、改めて株式会社の決議により、取締役などに選任することはできます。

 

8 法人の破産手続開始の効果

 法人は、破産手続開始の決定により解散しますが、破産手続による清算の目的の範囲内において、破産手続が終了するまで存続するものとみなされます(破産法35条)。

 

9 おわりに

 以上のとおり、破産手続開始決定の効果をご説明してきましたが、同時廃止手続になった場合には管財人が選任されないことから、上記のうち効果が発生しないものもあります。

破産申立てを行う場合に、自身にどのような影響が生じるのか、ご不安になることが多いかと思われます。破産により選挙権が失われるのではないかとのご不安の声を聞くことがありますが、そのようなことはありません。お困りの際は、お気軽に弁護士法人アステル法律事務所にご相談ください。

 

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