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2020/04/12   新法・法改正・判例紹介トピックス   法改正  

配偶者短期居住権について


 

(配偶者短期居住権)

民法第1037条 配偶者は、被相続人の財産に属した建物に相続開始の時に無償で居住していた場合には、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める日までの間、その居住していた建物(以下「居住建物」という。)の所有権を相続又は遺贈により取得した者(以下「居住建物取得者」という。)に対し、居住建物について無償で居住する権利(居住建物の一部のみを無償で使用していた場合にあっては、その部分について無償で使用する権利。以下「配偶者短期居住権」という。)を有する。ただし、配偶者が、相続開始の時において居住建物に係る配偶者居住権を取得したとき、又は第891条の規定に該当し若しくは廃除によってその相続権を失ったときは、この限りでない。

一 居住建物について配偶者を含む共同相続人間で遺産の分割をすべき場合 遺産の分割により居住建物の帰属が確定した日又は相続開始の時から6箇月を経過する日のいずれか遅い日

二 前号に掲げる場合以外の場合 第3項の申入れの日から6箇月を経過する日

2 (略)

3 居住建物取得者は、第1項第1号に掲げる場合を除くほか、いつでも配偶者短期居住権の消滅の申入れをすることができる。

 

1 配偶者居住権の問題点

改正民法では、配偶者居住権(民法1028条)が新たに定められ、旧民法下より柔軟な相続が可能となりました。しかし、配偶者居住権には、いくつかの要件があり、配偶者が取得できないケースや取得までに時間がかかる場合が想定されます。この点、改正前から判例(最三小判平成8年12月17日民集50巻10号2778頁)は、相続人の一人が相続開始時に被相続人所有の建物に居住していた場合には、特段の事情のない限り、被相続人とその相続人との間で、相続開始時を始期とし、遺産分割時を終期とする使用貸借契約が成立していたものと推認するとして、遺産分割までの短期的な居住権を確保していました。この判例によって改正前も配偶者に暫定的な保護は与えられていましたが、第三者に居住建物が遺贈されてしまった場合や被相続人が使用貸借に反対の意思表示をした場合には、配偶者は保護されないことになってしまいました。

 

2 改正の概要
そのような問題を受けて、改正民法では配偶者短期居住権という権利が新たに創設され、配偶者の権利が暫定的に保護されることになりました。これにより、配偶者は一定の要件を満たせば法律上当然に配偶者短期居住権を取得し、居住建物に無償で住み続けることができるようになりました。


3 配偶者短期居住権の成立要件
配偶者短期居住権の成立要件は以下の二つです。
(1) 被相続人の配偶者であること
配偶者短期居住権の権利者は、被相続人の配偶者であることが必要です。ここでいう「配偶者」とは、法律上被相続人と婚姻していた者に限られ、内縁の配偶者は含まれません。
なお、配偶者であっても、相続欠格事由に該当する場合や廃除によって相続権を失った場合には、配偶者短期居住権を取得することはできません。

 

(2) 被相続人の財産に属した建物に相続開始の時に無償で居住していたこと
配偶者が、被相続人の財産に属した建物に相続開始の時に無償で居住していれば、配偶者短期居住権は成立します。そして「居住していた」とは、生活の本拠としていたことを意味します。そのため、配偶者が病気のために一時的に入院していた場合なども「居住していた」といえ、配偶者短期居住権を取得することができます。
また、被相続人との同居は要件ではなく、被相続人が施設などに入所していても、成立します。


4 配偶者短期居住権の特徴

(1) 存続期間
配偶者短期居住権の存続期間は、居住建物について配偶者を含む共同相続人間で遺産分割をすべき場合かどうかによって異なります。
ア 居住建物について配偶者を含む共同相続人間で遺産分割をすべき場合
この場合の存続期間は、①遺産分割により居住建物の帰属が確定した日または②相続開始時から6箇月を経過する日のいずれか遅い日までの間となります。
イ それ以外の場合
相続人が居住建物を誰かに遺贈していた場合や、「相続させる」遺言があった場合には、居住建物を取得した者は、いつでも配偶者短期居住権の消滅の申入れを行うことができます。この申入れから6箇月が経過するまでが配偶者短期居住権の存続期間となります。

 

(2) 具体的相続分との関係
配偶者短期居住権はあくまで暫定的な配偶者の保護のための権利ですから、配偶者の具体的相続分からその価値を控除する必要はありません。

 

(3) 配偶者と居住建物取得者との間の法律関係
配偶者は、無償で居住建物の全部または一部を使用することができます。ただし、使用に当たっては従前の用法に従い、善良なる管理者としての注意をもって使用しなければならず、建物取得者の同意を得なければ第三者に建物を使用させることはできません。一方で、建物取得者は、居住建物を譲渡するなど、配偶者が建物を使用することを妨げてはなりません。
配偶者は、居住のために必要な修繕等は行えますが、建物の保存に必要な修繕費や固定資産税など、通常の必要費は負担しなくてはなりません。また配偶者短期居住権を譲渡することはできません。

 

(4) 配偶者短期居住権の消滅
配偶者短期居住権は(1)の存続期間が経過したときに消滅しますが、その他にも以下の場合に消滅します。
・配偶者が死亡したとき
・建物が全部滅失したとき
・居住権者の義務に違反したのちに配偶者短期居住権の消滅の申入れがあったとき

 

配偶者短期居住権は相続法改正により設けられた新たな権利で、配偶者の生活の安定のための権利です。この制度は令和2年4月1日以降に亡くなった方の相続に適用されます。遺産分割、相続のトラブル発生が見込まれる場合、できるだけ速やかに弁護士法人アステル法律事務所にご相談ください。

 

 

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