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2020/11/25   コロナ関連トピックス   従業員対応  

コロナ対応Q&A(労務編) 新型コロナウィルスと労働災害

Q 

①当社従業員が新型コロナウィルスに罹患した場合、労働災害となりますか。②その場合に、会社が損害賠償責任を負うのはどのような場合ですか。

 

1 新型コロナウィルス罹患の労働災害認定

⑴ 労働者の業務上の負傷、疾病、傷害又は死亡という「労務災害」が発生した場合、労働災害として労災保険給付が受けられます。新型コロナウィルスへの罹患が労働災害と認定されるためには、「業務上」生じたといえるか、つまり、業務と災害(新型コロナウィルスへの罹患)との間に相当因果関係があるかどうかが大前提となります。具体的にいえば、事業主の支配下にある状態で新型コロナウィルスに罹患するような状況におかれたか、ということになります。

 現在、厚労省のウェブサイトに公表されている「新型コロナウィルス感染症に係る労災認定事例」では、医療従事者等に限らず、接客業や建設作業員、保育士等の事例が掲載されています。

 

⑵ 新型コロナウィルスの労災認定については、厚労省から通達が出されており、令和2年4月28日付通達(基補発0428第1号)において「業務起因性」の判断につき具体的な取り扱いを示しています。

ア 患者の診療・看護・介護の業務等に従事する医療従事者等(医師、看護師、介護従事者等)については、業務外で感染したことが明らかな場合を除いて、原則的に労災認定となります。

イ 医療従事者等でない労働者で感染経路が特定できた場合、感染源が業務に内在していたことが明らかに認められる場合も、問題なく労災認定となります。

ウ 感染経路が特定できない場合でも、直ちに労災認定が否定されるわけではなく、①複数の感染者が確認された労働環境下での業務か、②顧客等との近接や接触の機会が多い労働環境下での業務の場合は、業務により感染した蓋然性が高く、業務に起因したものと認められるか否かを、個々の事案に即して判断することになっています。つまり、就業先でクラスターが発生した場合や、接客時間が長い接客業等の場合は、感染経路が不明でも認定される可能性があります。

 

⑶ 最終的には、感染経路が特定されるかどうか、その感染経路が業務に起因するかどうかは、個別具体的な事情によって判断されることになりますので、一概に労災認定を受けることができるとは言えないでしょう。

 

2 賠償責任を負わないために感染対策を

⑴ 従業員の新型コロナウィルス罹患が労災認定された場合に、会社が労災保険で賄いきれない休業損害や慰謝料等を賠償する必要があるでしょうか。

 

⑵ 結果として業務によって生じたことは認められても、それだけで賠償責任が生じるわけではありません。労働災害において会社が損害賠償責任を負担するのは、安全配慮義務を欠くなど当該災害の発生について故意または過失が認められるような場合です。

 これは、言い換えると、従業員が新型コロナウィルスに罹患する可能性をわかっていたはずなのに、相応の対策を取っていなかった場合ということになります。

したがって、会社としてどのようなリスクの分析を行ったのか、そしてそれに対してどのような新型コロナウィルス感染防止対策を行っていたか、を前提に判断することになります。

 

⑶ まず、会社としてどのようなリスク分析を行っていたのか、という点については、勤務地周辺の警戒レベルやニュース等で流れてくる情報を確認するだけでなく、従業員の「業務」の内容に対して予想される感染経路がどのようなものかを検討しましょう。

 従業員が不特定多数に接触するかどうか、感染の疑いが強い者と接触するかどうか、接触の形態として三密になりやすいかどうか、接触する時間はどれほどか等は考慮要素となると思われます。

 

⑷ そしてそれらの状況を踏まえ、適切な感染症対策とは何かを検討することになります。

比較的容易に講じることのできる対策としては、状況に応じたソーシャルディスタンスの確保や、従業員や利用者に対するマスク着用、一定時間ごとの換気や消毒の徹底、飛沫感染を防止するビニールシートやアクリル板等の設備の導入検討などがあるでしょう。

また、出勤前の検温の要請や、熱がある場合の対応、同居家族に濃厚接触者が生じた場合の対応、テレワークや時差出勤等の制度の導入検討等も考えられます。事業との兼ね合いもありますので、難しい判断になるとは思いますが、危険度の高い場合は営業時間の短縮や休業まで判断せねばならない場合もあるでしょう。

 

⑸ 会社の規模や事業内容等によって、対応可能な対策は変わってきます。新型コロナウィルス感染発生という結果が出た場合には、比較的導入しやすいものさえも導入していないということは会社の責任を認定される事情とされる場合もあるので、会社の実態とリスクを前提にきちんと準備しておくことをお勧めします。

 

労災事故が生じる場合の会社の責任についてご不明な点ございましたら、弁護士法人アステル法律事務所へご相談ください。

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