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2021/08/11   新法・法改正・判例紹介トピックス   法改正  

共有物の管理・変更、利用に関する規律の見直し

本記事は、2021年4月28日に交付された民法等の改正に関するものです。施行日は公布日から2年以内とされていますが、2021年8月11日現在未定です。

1.軽微な「変更」

1)改正経緯

共有物の管理・変更は、その内容に応じて、以下の要件で行うことになっています。

類型

意味

要件

保存

共有物の現状維持を図る行為

単独で可

管理

共有物を変更しない限度で、

・その経済的用法に従って使用・収益を図る行為

または

・使用価値・交換価値の増大を図る行為

持分の過半数を有する者の同意

変更

共有物の性質・形状の物理的変更または法律的処分

共有者全員の同意

 

もっとも、どういう行為が「変更」にあたるのかが必ずしも明確ではありませんでした。そのため、疑義のある行為については共有者全員の同意を得ることとし、一部の共有者の同意が得られない場合は、当該行為を諦めるか、共有物分割の方法によって共有関係を解消しなければなりませんでした。

 

2)改正内容

現行

第251条

各共有者は,他の共有者の同意を得なければ,共有物に変更を加えることができない。

改正後

第251条1項

各共有者は,他の共有者の同意を得なければ,共有物に変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。次項において同じ。)を加えることができない。

第252条1項

共有物の管理に関する事項(次条第一項に規定する共有物の管理者の選任及び解任を含み,共有物に前条第一項に規定する変更を加えるものを除く。次項において同じ。)は,各共有者の持分の価格に従い,その過半数で決する

共有物の変更のうち、その形状・効用の著しい変更を伴わない、いわゆる軽微な変更は、持分の過半数を有する者の同意で行うことができるようになりました。

軽微な変更は、管理と異なり、使用価値・交換価値の増大を図る改良行為に限られません。

 

2.共有物の利用方法

1)改正経緯

共有者は、それぞれ、自己の持分に応じて、共有物の全部を使用する権原を有しています。 例えば、3人(A・B・C)でリゾートマンションを1部屋共有している場合、共有者全員が、単独で、1部屋全体を使うことができます。新たに使用者を決める場合、管理行為(共有物を変更しない限度で、その経済的用法に従って使用する行為)として、持分の過半数を有する者の同意によることになります。

ただし、Aが、B・Cの同意なく、事実上1人で部屋を使い続けている場合、Aに部屋の明渡しを求め、他の者に使用させるためには、Aを含めた共有者全員の同意が必要であると考えられていました。また、一度共有者全員でAが単独で使用してよいと決めたものの、B・Cがよりよい条件で賃貸したいと考えた場合等、合意済みの利用方法の変更にも、Aを含めた共有者全員の同意が必要であると考えられていました。

しかし、現実には、こういった状況でAの同意が得られることはほとんどなく、新たに使用者を決める場合に比して不均衡である、B・Cの権利が保障されていないといった指摘がなされていました。

 

2)改正内容

ア.事実上の使用者がいる場合

改正後

第252条1項

共有物の管理に関する事項…は,各共有者の持分の価格に従い,その過半数で決する。共有物を使用する共有者があるときも、同様とする。

民法第252条1項後段が新設され、共有者間で共有物の利用方法が定められていない状態で、一部の共有者が事実上これを使用している場合、持分の過半数を有する者の同意によって、新たに利用方法を定めることができるようになりました。

例えば、BとCが、Bが単独でマンションを使用すると決めた場合、Bは、Aの同意を得ることなく、Aに対し、その明け渡しを求めることができます。

 

イ.合意済みの利用方法を変更する場合

改正後

第252条3項

前二項の規定による決定が、共有者間の決定に基づいて共有物を使用する共有者に特別の影響を及ぼすべきときは、その承諾を得なければならない。

先程同様、民法第252条1項後段の新設により、共有者間でいったん合意した利用方法も、持分の過半数を有する者の同意によって変更できるようになりました。

もっとも、B・Cも一度はAの使用を認めているわけですから、先程の何らの合意もない場合と異なり、Aに「特別の影響」を及ぼすときは、Aの承諾がなければ、利用方法を変更することはできません。

「特別の影響」の有無については、①共有物の利用方法を変更する必要性及び合理性と、②その変更によって共有物を使用する共有者に生じる不利益とを比較し、共有物を使用する共有者が受忍すべき程度を超える不利益を受けると認められるかどうかについて、具体的な事案毎に判断されることになります。

改正時の資料では、「特別の影響」が認められる可能性のあるケース、すなわち、Aの承諾が必要になる可能性があるケースとして、以下の3つが例示されています。

a. 共有物の使用者の変更

 ●合意済みの利用方法

           A・B・Cが各3分の1の持分で共有する土地の上に、Aが単独所有の建物を建築し、これによって土地を利用する。

 ●新たな利用方法

           Aが建物を建築した後に、土地の使用者をBに変更する。

b. 使用条件の変更

 ●合意済みの利用方法

           A・B・Cが各3分の1の持分で共有する土地の上に、Aが単独所有の建物を建築し、これによって30年間土地を利用する。

 ●新たな利用方法

           Aの土地利用期間を、5年間に短縮する。

c. 使用目的の変更

 ●合意済みの利用方法

           A・B・Cが各3分の1の持分で共有する建物を、Aが店舗営業のために利用する。

 ●新たな利用方法

          Aは、建物を居住用にしか用いてはならない。

 

共有物の利用・変更について、共有者のうち何人の同意が必要か、誰の同意が必要かについては、行おうとする行為や共有物の現状等、諸般の事情に照らした判断が必要です。

共有物の利用・変更についてお悩みの際は、弁護士法人アステル法律事務所にご相談ください。

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