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労働法トピックス

2022/03/28   労働法トピックス   雇用契約  

試用期間

  1. 試用期間とは

 我が国では、正規従業員の採用にあたっては、本採用に先立ち、入社後一定の期間、実際に労働させてみて就労状況等を観察し、適性や能力、性格等を評価したうえで本採用を判断することがほとんどです。

 これを試用期間といい、入社前の書面審査や面談では従業員の適性等を十分確かめることが困難であることから設けられています。

 試用期間が法律上どのような契約にあたるかは、個々の事案に応じて判断されますが、入社時から労働契約は成立しているものの、使用者に、従業員の不適格性を理由としてこれを解約する権利が留保されている(=解約権留保付労働契約)と解される場合が多いものと考えられます(最高裁三菱樹脂事件判決)。

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  1. 本採用拒否

     解約権留保付労働契約における本採用拒否は、留保された解約権の行使ではありますが、経営者側が労働契約を終了させる解雇であることには変わりありません。

     したがって、本採用拒否についても、解雇権濫用法理(労働契約法第16条)が適用され、経営者側が行った解雇に、客観的に合理的な理由があり社会通念上相当と認められる必要があります(前掲最高裁三菱樹脂判決)。

     もっとも、前述のとおり、試用期間は、実際の就労状況等を観察し、従業員の適性等を確かめるという趣旨・目的のものですので、試用期間中及び試用期間終了時の本採用拒否は、本採用後の解雇に比べて広く適法性が認められます。この点、前掲最高裁三菱樹脂事件判決は、

      ①採用決定後の調査の結果または試用期間中の勤務状態等により、

      ②採用当初知ることができず、また知ることが期待できないような事実を知るに至った場合において、

      ③そのような事実に照らし、その者を引き続き雇用しておくのが適当でないと判断することが、

      ④試用期間・解約権留保の趣旨、目的に照らし客観的に相当であると認められる場合に、

     本採用拒否が有効と判断される、という基準を示しています。

     また、本採用拒否の限界については、東京地裁平成24年8月23日判決において、「実験・観察期間としての試用期間の趣旨・目的に照らして通常の解雇に比べ広く認められる余地があるにしても、その範囲はそれほど広いものではなく、解雇権濫用法理の基本的な枠組みを大きく逸脱するような解約権の行使は許されない」という基準を示した上で、①本採用拒否の理由が重大なレベルに達しているか、②他に本採用拒否を回避する手段があるか、③労働者側の事情の有無、程度を総合考慮して、社会通念上の相当性を判断すべきとしました。

 

  1. 試用期間の長さ

 試用期間の長さについては、法律上の規制はありません。もっとも、実際の就労状況等を観察し、従業員の適性等を確かめるという趣旨・目的を達するために必要な期間を超えることは許されるべきではないと考えられています。必要かつ合理的な範囲を超えた長期の試用期間の定めは、公序良俗に反し無効とされる可能性があります。

 裁判例には、有期労働契約を経た後の試用期間を無効とするものや、1年の有期労働契約のうち試用期間が6ヶ月とされていたが、3ヶ月を超える部分を無効とするもの等があります。

 

  1. 試用期間の延長

 

 試用期間の延長は、①就業規則等で、延長の可能性があること、延長理由、延長期間等が具体的に定められており、かつ、②個別具体的な事案において、試用期間延長の合理的な理由が認められることが必要です。また、経営者側が本採用拒否できるにもかかわらず、これを猶予し、従業員の適性等を再検討する目的での試用期間延長は、従業員に資するものとして認められると考えられています。

 

 本採用後の労使紛争を防ぐためには、試用期間の制度設計、運用が重要です。

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