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2023/08/22   個人再生   破産トピックス  

小規模個人再生手続の継続収入用件

1 はじめに

個人再生手続の概要について、こちらの記事でご説明しましたが、本コラムでは、個人再生手続のうち、特に実務上よく用いられている小規模個人再生手続の「継続収入要件」に焦点をあてて、詳しくご説明します。

2 継続収入要件(民事再生法221条1項)

 小規模個人再生手続を利用するには、債務者が「将来において継続的に又は反復して収入を得る見込みがある」ことが必要です(これを一般に「継続収入要件」といいます。)。継続収入要件を満たさないことが明らかである場合には、個人再生手続開始申立ての棄却事由となるほか、再生計画の不認可事由にもなります。

 小規模個人再生手続は、3年間(最長5年間)、3カ月に1回以上債権者に弁済するという再生計画を立て、これを履行していくものですから、「継続的に又は反復して収入を得る見込みがある」とは、基本的に今後3年間ないし5年間にわたって少なくとも3カ月に1回の割合で弁済原資となる収入を得る見込みがあることと解されています。

 例えば、毎月1回給与をもらっている正社員であれば、継続収入要件を満たすことになりそうですが、個人事業主の方やアルバイトの方など、継続収入要件を満たすかどうか判断に迷うことになると思いますので、以下で個別に解説します。

3 個別の検討

(1)個人事業者、農業従事者、漁業従事者

 個人事業主の場合、収入の間隔が、3ヶ月を超えたり、不定期となったりすることもありますが、収入を割り振ることにより3カ月に1回の割合で弁済することができるなら、継続収入要件を満たすものと考えられています。農業従事者、漁業従事者の場合も同様です。

(2)アルバイト、パートタイマー

 アルバイト、パートタイマーであっても、申立てまでに相当期間雇用が継続している実績があれば、通常今後も雇用継続が見込まれるので、継続収入要件として特に問題はありません。

 短期間の就労実績しかない場合であっても、期間限定雇用であるなど雇用継続が見込めないことが明らかな場合を除き、継続収入要件を満たすと考えられます。

(3)期間工、派遣社員

 雇用期間が限定されている期間工の場合は、近い将来に、職が途切れてしまいますので、雇用期間経過後の再就労の見通し、失業中の弁済原資確保の見通しなど、再生計画遂行に必要な弁済原資を確保する可能性があることを示さない限り、継続収入要件を満たさないことが明らかと判断されてしまいます。派遣社員で雇用期間が短期間に限定されている方も同様です。

(4)失業中の方

 現在失業中で、再就職の見通しが立っていない場合にも、継続収入要件を満たさないことが明らかと判断されます。なお、近々再就職が確実であるような場合には、継続収入要件を満たす可能性もありますので、弁護士にご相談ください。

(5)専業主婦

 専業主婦のように無収入の場合も、継続収入要件を満たさないことが明らかと判断されます。もっとも、アルバイトやパートタイムをはじめることで、継続収入要件を満たすこともあり得ますので、弁護士にご相談ください。

(6)年金受給者

 年金受給者は、継続的な収入の見込みがあるので、継続収入要件を満たします。

(7)生活保護受給者

 生活保護受給者の場合、形式的には継続的な収入の見込みがあるようにも見えますが、生活保護は、最低限度の生活に必要な費用を給付金として交付し、最低限度の生活の維持を図ろうとするものであり、その制度の趣旨からすれば、個人再生手続の利用は困難と考えられます。

(8)定年間近の会社員

 再生計画遂行期間中に定年を迎えて毎月の給与収入がなくなる場合、継続収入要件を満たさないこととなりそうですが、退職金があり、退職金を弁済原資とすることが可能な場合には、継続収入要件を満たすこともあり得ます。退職金がない場合でも、再就職や年金受給などで収入を得る具体的な見通しがあれば、継続収入要件を満たすことがあり得ます。

4 最後に

ここまで、個別に継続収入要件を満たす否かを概観しました。継続収入要件を満たす場合であっても、継続的に得られる収入が少なく、返済に回す余裕がほとんどないということもあり得ます。この場合には、再生計画を遂行できるだけの収入額が確保できないため、小規模個人再生手続をとることができません。継続的に得られる収入から、再生計画の履行が可能かどうか、弁護士とよく相談の上、小規模個人再生手続をとるか否かを決めることになります。

また、熊本県内で小規模個人再生手続の申立てを行う場合、全件で民事再生委員が選任されることになり、予納金が必要となります(令和5年4月28日現在)。

小規模個人再生手続をとるべきか否か、判断すべき事項が多岐にわたり複雑ですので、お困りの方は、アステル法律事務所までご相談ください。

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