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2023/08/22   個人再生   破産トピックス  

小規模個人再生手続の流れ

1 はじめに

 本コラムでは、個人再生手続がどのような流れで進んでいくのかについてご説明します。以下では、実務上個人再生申立ての大半を占める小規模個人再生の流れをご説明します。

2 申立てから認可決定までの流れ

(1)個人再生委員の選任

 個人再生申立書が受理されると、裁判所により、個人再生委員が選ばれます。個人再生委員とは、個人再生手続を指導監督する者で、熊本地裁の運用では、弁護士が選任されます。

(2)個人再生委員との打合せ

 個人再生委員が選任されると、申立人本人・申立人代理人・個人再生委員の三者間で、打合せが行われます。打合せでは、申立書の記載に沿って、債務・資産・家計の状況等の確認がなされます。

(3)分割予納金の積立て

 再生計画認可決定後に弁済を継続していけるかどうかを検証するために、予定する計画弁済相当額を申立人に積み立てさせる運用がとられています。積み立ての期間は、原則として6カ月とされています。

(4)個人再生手続開始決定

 個人再生委員が、手続を開始すべきかどうかについての意見書を裁判所に提出します。

その意見書に基づいて裁判所が審査を行い、再生手続開始が相当と判断されれば、個人再生手続開始決定がなされます。

(5)債権調査・債権届出

 申立人には、債権者一覧表の提出が義務付けられています(民事再生法221条3項)。

 債権者は、自ら債権届出をすることもできますが、債権者一覧表に記載されている場合は、自ら債権届出をしなくても、債権者一覧表に記載されている内容・金額の債権届出がなされたものとみなされます(法225条)。

(6)債権に対する認否一覧表の提出・異議申述、債務者財産の調査報告

 申立人は、債権者から送付された債権届出の記載をもとに、債権額が確定されます。債権者が届け出た債権額に異議がある場合は、書面で異議を述べることができます。

 また、債務者の財産状況が、申立て時点から変更があったか、現状はどうか等を調査して、その報告書を裁判所に提出する必要があります(法125条)。

(7)再生計画案の作成・提出

 債権の全額が分かったところで、申立人は再生計画案を作成し、裁判所に提出することになります。 再生計画案では、弁済総額・弁済の方法・住宅資金特別条項の利用等について定めることになります。

 住宅資金特別条項の利用については、こちらの記事で解説します。

(8)再生計画案の決議

 再生計画案が提出されると、個人再生委員から裁判所に対して、書面決議に付するかどうかに関する意見書が提出されます。裁判所は、それに基づいて、書面決議に付するかどうかについて決定を行います。書面決議とは、債権を届け出た債権者が、再生計画案に同意するかどうかを書面で提出することをいいます。

 書面決議に付する決定がなされると、その旨が各債権者に通知されます。各債権者は、再生計画案に対する同意・不同意の意見を書面で裁判所に提出します。

 個人再生委員は、書面決議や意見聴取の結果をふまえて、再生計画を認可するかどうかに関する意見書を裁判所に提出します。

(9)再生計画認可・不認可の決定及び確定

 裁判所は、個人再生委員の意見を踏まえて、再生計画を認可するか、あるいは不認可とするかの決定をします。決定がなされるのは、申立てから約25週間後となります。

 再生計画について認可決定又は不認可決定がなされると、決定日から約2週間後に、その旨が官報に公告されます。

官報公告から2週間経過後に、その認可決定又は不認可決定が確定することになります。

 

3 再生計画案について

 再生計画案の内容は、民事再生法で要件・基準が定められています。具体的には、以下の3つの要件を満たす必要があります。

(1)清算価値保証原則

 清算価値保証原則とは、最低弁済額は、債務者が自己破産を選択したときに債権者に配当される金額を下回ってはいけないという原則です。

個人再生手続は、債務者の財産を自己破産のように処分せずに、分割弁済をしていく手続です。最低弁済額が、債務者が自己破産を選択したときに債権者に配当される金額を下回ると、自己破産をした場合の方が、債権者はより多くの金額を得られる状況になることも考えられます。つまり、債権者の利益を守るために、清算価値保証原則がとられていることになります。

 そのため、再生計画案を作成するにあたっては、再生債務者の財産状況を正確に記載した資料を提出して、当該再生計画案が清算価値保証原則を満たしていることを明らかにする必要があります。

(2)最低弁済額

 最低弁済額は、①基準債権から計算される最低弁済額、②破産の場合の予想配当額(清算価値)のいずれか高い方になります。①の計算方法は、こちらの記事でご説明したとおりです。

(3)弁済期間

 弁済期間は、原則として3年間です(個人再生法229条2項2号)。ただし、「特段の事情」がある場合には、5年を限度として3年を超える弁済期間を定めることが認められています。「特段の事情」が認められるためには、3年の弁済期間では弁済が困難であること及び弁済期間を延長しても再生計画案の遂行の見込みがあることについて、裁判所に対して説明を行う必要があります。

 

4 最後に

 ここまで、小規模個人再生の手続の流れをご説明しました。小規模個人再生の手続は複雑で、特に申立人ご本人が再生計画案を作成するのは非常に難しいものです。

 個人再生手続をご検討の方は、アステル法律事務所までご相談ください。

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