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労働法トピックス

2023/08/24   労働法トピックス   有期・派遣・請負  

同一労働同一賃金

1 はじめに

 平成30年に成立したいわゆる働き方改革関連法の一環として、正規・非正規雇用労働者間の待遇格差の是正に関する法令により、有期雇用労働者について期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止を定めた労働契約法20条が削除され、同規定はパートタイム労働法に統合されました。そして、パートタイム労働法の名称が、「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善に関する法律」(以下「パート有期法」といいます。)に変更されました。

2 改正の概要

 パート有期法では、①不合理な待遇の禁止の内容がより明確に規定され(パート有期法8条)、②差別的な取り扱いの禁止について、パートタイム労働者だけでなく、有期雇用労働者も対象とされ(同9条)、③事業主の説明義務についても、パートタイム労働者だけでなく、有期雇用労働者も対象にされ、事業主の説明義務に待遇の相違の内容と理由が追加され(同14条2項等)、④行政による履行確保措置と裁判外紛争解決手続きが有期雇用労働者にも拡充されました(同18条、22条以下)。
 また、派遣労働者について、①不合理な待遇の禁止(派遣法30条の3第1項)、②差別的な取り扱いの禁止(同30条の3第2項)、③労使協定方式(同30条の4)、④派遣先の情報提供義務(同26条7項から同条10項)、⑤派遣事業主の説明義務(同31条の2)、⑥裁判外紛争解決手続(同47条の5以下)が定められました。
■不合理な待遇の禁止⇒パート・有期法8条、派遣法30条の3第1項
■差別的取扱いの禁止⇒パート・有期法9条、派遣法30条の3第2項

3 不合理な待遇の禁止

(1)条文
 パート有期法8条は、「事業主は、その雇用する短時間・有期雇用労働者の基本給、賞与その他の待遇のそれぞれについて、当該待遇に対応する通常の労働者の待遇との間において、当該短時間・有期雇用労働者及び通常の労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(以下「職務の内容」という。)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情のうち、当該待遇の性質及び当該待遇を行う目的に照らして適切と認められるものを考慮して、不合理と認められる相違を設けてはならない。」と定めています。
 パート有期法8条に違反する否かは、①待遇の相違が存在すること、②当該待遇の相違が不合理であることにより判断されます。

 

(2)待遇とは
 行政解釈により、「待遇」には、基本的に全ての賃金、教育訓練、福利厚生施設、休憩、休日、休暇、安全衛生、災害補償、解雇との全ての待遇(ただし、短時間・有期雇用労働者を定義づける労働時間及び労働契約の期間を除く。)が含まれるとされています(平成31.1.30通達)。

 

(3)不合理か否か
 パート有期法8条は、職務の内容、職務の内容及び配置の変更の範囲、その他の事情のうち、当該待遇の性質及び当該待遇を行う目的に照らして適切と認められるものを考慮するとしています。
 まず、職務の内容とは、業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度をいいます。そして、職務の内容が同一であるとは、パートタイム労働者・有期雇用労働者と通常の労働者を比較して、業務の内容が実質的に同一であること、業務に伴う責任の程度が著しく異ならないことが必要です。
 次に、職務の内容及び配置の変更の範囲は、人材活用の仕組み・運用等のことであり、パートタイム労働者・有期雇用労働者と通常の労働者を比較して、転勤、昇進を含む人事異動や役割の変化等の有無や範囲が同一であるかにより判断します。
 そして、その他の事情としては、行政解釈によれば、職務の成果、能力、経験、合理的な労使の慣行、事業主と労働組合との交渉といった労使交渉の経緯などの諸事情が想定されるものであり、考慮すべきその他の事情があるときに考慮すべきものであるとしています(平成31.1.30通達)。
 長澤運輸事件(最判平成30年6月1日)では、この点につき、「その他の事情」は職務の内容、当該職務の内容及び配置変更の範囲に関連する事情に限定されるものではないとしたうえで、有期雇用労働者が定年退職後に再雇用されたものであることが「その他の事情」と考慮される事情にあたると判断しました。

4 差別的な取り扱いの禁止

(1)条文
 パート有期法9条は、「事業主は、職務の内容が通常の労働者と同一の短時間・有期雇用労働者であって、当該事業所における慣行その他の事情からみて、当該事業主との雇用関係が終了するまでの全期間において、その職務の内容及び配置が当該通常の労働者の職務の内容及び配置の変更の範囲と同一の範囲で変更されることが見込まれるものについては、短時間・有期雇用労働者であることを理由として、基本給、賞与その他の待遇のそれぞれについて、差別的取扱いをしてはならない。」と定めています。
パート有期法9条に違反する否かは、①職務内容の同一性と、②職務の内容及び配置変更の範囲の同一性により判断されます。

 

(2)解釈
 ①職務内容の同一性、②職務の内容及び配置変更の範囲の同一性については、同法8条と同様に解釈されます。

5 おわりに
 

  現在の運用がパート有期法に違反するか否かについては、法解釈を踏まえた実質的な判断が必要です。
 運用にご不安な点がおありの場合には、当事務所にご相談下さい。
 

以上

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