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2017/11/14   企業法務トピックス  

新株発行差止請求の可否(出光興産事件)


平成29年7月19日、東京高裁は、出光興産が行った公募増資による新株発行に関し、創業家株主が求めていた差止請求を認めない旨の決定を出しました。

出光興産においては、創業家株主が33.9%の割合の株式を保有しており、取締役会が進めようとしていた昭和シェルとの経営統合(合併)に関し、株主総会特別決議において拒否できる状況でした。取締役会が行った新株発行の結果、創業家株主の株式保有割合は26.1%に低下し、特別決議を否決できなくなることから、創業家株主が新株発行の差し止めの仮処分を申し立てたものです。同年7月18日に東京地裁は創業家株主の申立てを却下し、翌19日に東京高裁も同様の決定を出したものです。

公開会社の場合、公募・第三者割当増資は有利発行でない限り、発行可能株式総数の授権枠の範囲内で取締役会決議によって実施可能です。この場合に、既存の株主が従前の株式保有割合を維持するためには新株発行を差し止める必要がありますが、株主は「著しく不公正な方法」による新株発行の場合に、その差止を請求することができるとされています(会社法210条2号)。

この「著しく不公正な方法」とはどのような場合が該当するのかが問題となりますが、これまでの裁判例においては、この判断をいわゆる「主要目的ルール」によって判断してきました。これは、新株発行の主要な目的が資金調達目的なのか、それとも取締役の支配権維持目的なのかを判断し、取締役の支配権維持が目的であるのであれば、新株発行の差し止めを認めるというものです。

今回の出光興産事件において、取締役会側は、公募増資の調達資金は昭和シェル株式取得時の借入金返済と戦略投資に充てる必要があり、資金調達目的が主要目的であると主張しました。この点に関し、裁判所は、取締役会側の戦略投資についてその必要性・合理性をことごとく否定しましたが、昭和シェル株式取得時の借入金返済を資金調達目的として認め、結論として創業家株主の差し止め請求を認めませんでした。しかし、取締役会側と創業家株主との対立点は、昭和シェルとの経営統合の可否に関するものであり、その準備行為たる昭和シェル株式取得時の借入金返済を資金調達目的として認めることには疑問もあります。

この出光興産事件では、新株発行を第三者割当増資ではなく公募増資により行ったことが会社側に有利な判断となった可能性もあります。第三者割当増資とは異なり、公募増資の場合は、新株主の議決権行使の行方が不明確であり、支配権維持の確実性が弱いことから、裁判所がそのような目的を否定する方向に考えた可能性もあります。

今後、支配権争いに関連した新株発行が行われる場合に、経営陣が公募増資の方法による事案が増える可能性もあり、興味深い事案といえます。

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