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2015/07/24

著者Author :下山 和也

THE ASTER TIMES 2015.07.vol.05

   

120年ぶりの民法大改正                    弁護士 下山和也

「民法の一部を改正する法律案」が平成27年3月31日に国会に提出されました。今回の民法改正案は,民法の債権法に関連する改正案です。今回の民法改正案が成立すれば,民法が明治29年に制定されて以降,120年ぶりの大改正となります。
債権法関連部分は,契約関係等日常生活に大きく関わる内容であるため,実務に与える影響はとても大きいと考えられています。

 

主な改正点だけを挙げても,消滅時効の起算点・時効期間に大きな改正があり,時効管理において特に注意が必要です。また,保証と債権譲渡において,大きな改正があり,企業法務に与える影響は小さくありません。保証については,保証人を制限されることになりますし,債権譲渡禁止特約を利用していた企業においては,これまでの契約書を見直すことが必要となります。さらに,定型約款に関する規定が新設され,関係する企業においては対応が必要となります。売買と請負に関しても,これまでの瑕疵担保責任から,契約内容不適合責任と改正され,契約書の見直しが必須となります。賃貸借においても,これまでの重要な判例法理が明文化され,契約書を再点検することが必要となります。

 

これまで指摘したのは主な改正点のみであり,それ以外にも様々な改正がなされ,実務に与える影響も大きなものがあります。民法改正によって全く影響を受けない企業はないと言っても過言ではありません。
当事務所においては,国会における改正案の審議状況も踏まえながら,民法改正が実務に与える影響,そして企業に要求される準備事項に関するセミナーを開催する予定にしています。熊本の企業の皆様方に向けて,どのような業種の企業において,どのような対応が必要となるかを分かりやすく発信したいと考えています。
どうぞ,ご期待下さい。

共有に属する株式の議決権行使に関する最高裁判決~最高裁平成27年2月19日判決~

1 事件の概要

特例有限会社Yにおいて,発行済み株式3000株のうち,2000株を有するAが死亡し,XとBが相続しましたが,遺産分割未了で共有(正確には「準共有といいます」)のまま臨時株主総会を迎えました。臨時株主総会にはBと1000株を有するCが出席しました。
共有株式の権利行使者の指定・通知を欠くまま株主総会が開催され,代表取締役を選任する決議等がなされ,決議にあたって,YはBの権利行使に同意しました。

2 争点と最高裁の判断

共有株式の権利行使については,会社法106条において,原則として権利行使者の指定・通知が必要で,例外的に会社の同意がある場合は可能と定められています。一方,民法では,共有物の変更については共有者全員の同意が必要(民法251条),管理については共有持分の過半数の同意が必要(民法252条)とされています。
本件では,会社の同意がある場合でも,なお,民法251条・252条等の民法の共有に関する規定に従う必要があるかという点が争点になりました。
最高裁は,この争点について,民法251条・252条等の民法の共有に関する規定に従う必要があることを明確にしました。
結果として,本件では,臨時株主総会の決議内容が株式の処分につながる内容ではないため,共有株式2000株の過半数の同意があればよかったのですが,XとBは各2分の1ずつでBの権利行使は過半数の同意を得ての権利行使ではないため,総会決議は法令違反にあたるとして,取り消されることになりました。
3 会社に求められる対応
本件のような問題は,同族企業で相続が発生し,かつ相続人間で争いが生じている場合に起こりえます。
株式の承継が不明確なまま,創業者(大株主)が,不慮の事故等により相続が発生した場合,本件のように株主総会が機能不全に陥る可能性があります。
相続が介在する事業承継にあたっては,後継者(相続人)への会社の支配権の譲渡方法の検討・準備を事前に行う必要があります。

シンポジウム「民法(債権関係)改正と今後の消費者保護法制」報告弁護士 岡井 将洋

平成27年6月から,日本弁護士連合会の消費者問題対策委員(熊本県弁護士会推薦)となり,2か月に1度,委員会の会議に参加するために東京へ出張することになりました。6月26日に,全体会議と各部会に参加しに東京へ行ったのですが,その際,「民法(債権関係)改正と今後の消費者保護法制」というシンポジウムに参加して参りました。

 

このシンポジウムでは,慶應義塾大学大学院法務研究科教授であり,改正民法案の検討を重ねていた法制審議会の民法(債権関係)部会幹事である鹿野菜穂子さんによる基調講演が行われたほか,民法改正と消費者保護法制に関するパネルディスカッションが行われました。

鹿野教授の基調報告やパネルディスカッションでは,改正民法において,①消費者法の概念を取り込むかどうかが議論となったが見送られたこと,②見送られることとなった契約締結過程の情報提供義務や暴利行為規定について,③規定されることとなった保証や定型約款について報告されました。
①については,取引の一般法である民法上に,消費者法の概念を取り込むことは適切ではないとの判断がなされたようです。
②については,情報提供義務も,暴利行為についても,民法改正の議論の中では必要性は認められながらも見送られました。未だ発展途上の理論であることから,現時点で明文化することは早きに失するという判断となったというわけです。
そのため,改正法案に規定はありませんが,情報提供義務や暴利行為については,これまでの判例の蓄積に従い,事業者側に義務が認められたり,契約が無効となったりする場合があることは忘れてはなりません。
③のうち,個人保証については,事業のための貸金債務の保証をする場合は,原則,保証債務の履行意思を確認する公正証書がなければ無効となります。ただし,会社の取締役や,個人事業者の配偶者などには適用されないという,一部の例外があります。
また,個人の根保証の場合に極度額の定めがなければ無効になりますし,主債務者や債権者は保証人に対して,主債務の履行状況等の情報提供義務も課されることになります。
保証の分野については,今後細かなフォローが必要になるでしょう。
定型約款については,一部の雑誌等では企業間取引に適用がないと記載されているものもありますが,改正民法上,企業間取引を適用除外とはしておらず,「定型取引」に該当する場合には,約款が契約内容に組み入れられることになりますので,各取引において検討を要します。
また,「定型取引」に該当しない場合の約款の効力については,今後の解釈によって解決されることとなります。結局,定型取引でない場合は,これまで通り,当事者間の合意の有無,約款条項の認識の程度,
取引の経過などを総合考慮した上での判断になるものと思われます。
消費者法に関しては,来年の通常国会に,消費者契約法の改正案,特定商取引法の改正案が提出される見込みです。
今回,民法改正案に含まれなかった消費者保護法制についても,改正消費者契約法でフォローされることが十分予想されます。

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