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企業法務トピックス

2018/03/16   企業法務トピックス  

取締役が会社に対して負う責任~利益相反取引~


Q.

当社(X社)の取締役である私(A)は、Y社の取締役でもあります。
この度、X社を私とは別の代表取締役Bが代表し、Y社との間で売買契約を締結しました。
私が取締役を務めているY社との取引ということになりますが、このような取引を適法に行うには、社内手続が必要なのでしょうか。

A.

AさんがY社を代表していれば、例えX社をAさん以外の取締役(B)が代表していたとしても、X社の株主総会(取締役会設置会社であれば取締役会)の承認を得る必要があります。

【解説:利益相反取引(直接取引)】

会社と取締役との間で利益衝突が生じる最も典型的な場面は、会社と取締役が直接取引をする場合であり、これは取締役が別の会社を代表して会社と取引をする場合も同様です。
そこで、会社法は、取締役が自己または第三者(他の会社等)のために会社と取引をしようとするときは、株主総会(取締役会設置会社であれば取締役会)で、当該取引について重要な事実を開示したうえで、承認を受ける必要があります(会社法356条第1項第2号、会社法第365条第1項)。なお、取引後は、遅滞なく、取引に関する重要な事実を取締役会に報告しなければなりません(会社法365条第2項)。
ここでいう「ために」とは、取引の法律上の当事者になるのが誰か(すなわち、「自己または第三者の『名義』で」)ということを示します。
したがって、上記の場合、AがY社を代表していれば、A名義でX社と取引をすることになりますので、X社での承認が必要になります。
この際に、AがX社を代表することは必要ありません。BがAの利益を図る可能性もあるからです。なお、仮にAがX社を代表していれば、Y社での承認が必要になります。

Q.

私(A)は、X社の取締役であり、Y銀行から金銭を借り入れました。この際、X社は、Y銀行と、私の貸金債務を保証する契約を締結しました。
直接私がX社と取引をしたわけではありませんが、このような場合も適法に行うには社内手続が必要なのでしょうか。

A.

会社法356条第1項第3号が規制する間接取引に該当しますので、X社の株主総会(取締役会設置会社であれば取締役会)での承認が必要な取引になります。

【解説:利益相反取引(間接取引)】

会社が取締役以外の者との間で取引を行う場合であっても、会社と取締役の利益が相反する取引はあります。
例えば、上記のように会社が取締役の債務を保証する等のときは、外形的・客観的に会社の犠牲において取締役に利益が生じますので、このような場合は株主総会(取締役会設置会社であれば取締役会)の承認を受けなければなりません(会社法356条第1項第3号、会社法第365条第1項)。事後の報告(会社法第365条第2項)が要求されるのも、直接取引と同様です。
これによって規制される取引としては、会社が取締役の債務を引き受けることや、会社が保有する財産をもって取締役の債務に関して物上保証を行うこと等も挙げられます。

Q.

上記2事例で、私(A)はX社の承認を何ら得ずして取引を行ってしまいました。この場合、その取引は法律上効力を有するのでしょうか。
また、私はX社から責任追及を受けてしまうのでしょうか。

A.

取引は原則として無効ですが、会社が第三者と取引をした場合(間接取引)、第三者が、①当該取引が利益相反取引に該当し、②株主総会又は取締役会の承認を受けていないことを知っていたと会社が証明できて初めて無効の主張が可能です。
この場合、利益相反取引を原因として会社に損害が生じており、Aに任務懈怠があると判断されれば、会社に対して当該損害を賠償する義務を負います。

【解説:承認を受けなかった場合の法律関係】

1 取引の効力
承認を受けていない利益相反取引について、直接取引の相手方であれば、常に当該取引が無効であることを主張可能です。
しかし、間接取引のように、第三者(2つ目の事例のB銀行等)との取引を常に無効としてしまっては、第三者の利益を害することになります。
そこで、判例上、第三者が、①当該取引が利益相反取引に該当し、②株主総会又は取締役会の承認を受けていないことを知っていたと会社が証明できた場合に、初めて取引の無効を主張することができるとされています。
なお、利益相反取引の規制自体が会社の利益保護が目的であるので、取締役側(事例のA)から取引の無効を主張することはできません。
2 取締役の責任
利益相反取引について取締役会の承認を受けていたか否かに関わらず、当該取引を原因として会社に損害が生じ、取締役にも任務懈怠があったとされれば、取締役は責任を負います(なお、任務懈怠が推定されてしまいます(会社法423条第3項))。

まとめ

利益相反取引は、法律上その効力が無効と解される可能性すらあり、重要な規制と言えます。
また、特に間接取引の場合など、利益相反取引に該当するか否かの判断が難しい場合もあるでしょう。
問題が顕在化する前でも、リスクヘッジの必要があるかと思いますので、いつでもご相談ください。

 

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