労働法トピックス
2017/03/24 労働問題の基本 労働法トピックス
労働関係法規における「労働者」の範囲
会社の事業遂行にあたっては、様々な人が働いています。
正社員やパート・アルバイトの人については、「うちの会社の労働者だ」ということに特に疑問はないでしょう。しかし、特殊な技術を使って働いている技師や、零細下請業者的な人、そして役員・管理職など、働き方に個人の裁量があるような人については、「労働者」なのかと、疑問が生じることがあります。
会社の「労働者」かどうかというのは、最低賃金、育児介護休業、労災や雇用保険など各種規制の適用範囲を定める、非常に重要な指標です。
「源泉徴収や社会保険料の控除をしていないし、税務署や社会保険事務所には『労働者』ではなく『事業主』で通っているのだから、『労働者』ではないでしょう。」と思ってしまったら、危険です。源泉徴収や社会保険の取り扱いは、「労働者」かどうかの実態判断がなされずに、当事者の申告に従って手続が進められますので、意図的に操作できてしまいます。そのため、こうした事情は、「労働者」かどうかという重要な判断を左右しません。
上記各種規制の適用がある「労働者」かどうか、経営者側から見る場合のポイントは、主に2つあります。
第一に、本人にどれくらい自由を与えているかです。具体的には、仕事を依頼した場合に拒否できるか、仕事のやり方や時間のやりくりについてどの程度任せているか(どの程度口出ししているか)等です。
第二に、「仕事の成果」に対して報酬を払っているか否かです。働いた時間、つまり労働そのものを基準に金額を決めている場合には、労働者への賃金を支払っているとして、「労働者」であると判断される可能性が高まりますので、要注意です。
その他、多種多様な会社の実情が考慮され、明確な判断基準はないのですが、まずはこの2つのポイントに気をつけていただければと思います。
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