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2021/10/27   新法・法改正・判例紹介トピックス   法改正  

相続登記の義務化

1問題の全体像

 
不動産の権利に関する登記については、これが不動産の物権変動の第三者対抗要件であることを背景に、その登記申請については私的自治に委ねられており、公法上の登記申請義務はありませんでした。そのため、不動産にかかる登記情報が最新のものに更新されず、不動産登記等から直ちに所有者またはその所在が把握できない所有者不明土地が数多く存在するという問題があります。特に、所有者不明土地の原因の多くは相続登記が行われないことによるものであることが指摘されてきました。改正法においては、相続又は遺贈により所有権を取得した相続人、及び法定相続登記又は相続人申告登記がされた後に遺産分割により所有権を取得した者に対して登記申請義務が課されることになります。
 

2相続・遺贈に関する登記申請義務

 
(1)改正法では、不動産の所有権の登記名義人が死亡し、相続等による所有権移転が生じた場合に、公法上の登記申請義務が課されます(改正不動産登記法76条の2)。
 
(2)登記申請義務相続(特定財産承継遺言及び遺産分割を含む。)又は遺贈により、不動産の所有権を取得した相続人は、相続を原因とする所有権移転登記又は遺贈を原因とする所有権移転登記をする必要があります。そして、これらの登記申請義務は、義務発生日、すなわち自己のために相続開始があったことを知り、かつ、不動産の所有権を取得したことを知った日から3年以内に履行する必要があります。かかる義務に違反した場合は、正当な理由がある場合を除き、10万円以下の過料が課されます。なお、過料の制裁については、今後、過料の手続きや正当な理由がない場合の具体的な類型について法務省令や通達において具体的に定められることが予定されています。
 
(3)相続人申告登記相続人申告登記は、改正法により新設されるもので、申出人が法定相続人の一人であることがわかる戸籍謄抄本を提出し、所有権の登記名義人について相続が開始した旨及び自らが当該所有権の登記名義人の相続人である旨の申出により、相続を原因とする所有権移転登記申請義務を履行したものとみなされます。
 
 
 
 

3遺産分割に関する登記申請義務

 
法定相続登記又は相続人申告登記を行った後に、遺産分割が行われた場合、遺産分割により所有権を取得した者は、遺産分割の日から3年以内に、遺産分割を原因とする所有権移転登記申請を行う必要があります。かかる義務に違反した場合には、10万円以下の過料が課されます。なお、過料の制裁については、今後、過料の手続きや正当な理由がない場合の具体的な類型について法務省令や通達において具体的に定められることが予定されています。
 

4改正法の適用

 
相続・遺贈に関する登記申請義務については、改正不動産登記法76条の2の施行の日より前に所有権の登記名義人について相続の開始があったときは、当該相続により所有権を取得した者は、自己のために相続開始があったことを知り、かつ当該所有権を取得したことを知った日又は改正不動産登記法76条の2の施行の日のいずれから遅い日か3年以内に、所有権移転登記を申請しなければならないものとされています。また、遺産分割に関する登記申請義務についても、同様に、改正不動産登記法76条の2の施行の日より前に所有権の登記名義人について相続の開始があったときは、当該相続により所有権を取得した者は、分割の日又は改正不動産登記法76条の2の施行の日のいずれか遅い日から3年以内に、所有権移転登記を申請しなければならないものとされています。
 
 

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