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2021/01/28   コロナ関連トピックス   テレワーク  

コロナ対応Q&A(労務編)テレワークにおける労働時間の把握

1 設問

  • テレワークの導入を検討していますが、労働時間の把握については、どのような点に留意すればよいでしょうか。
  • テレワークにおいては、「事業場外労働者のみなし労働時間制」(労働基準法38条の2)の適用が可能だと聞きましたが、利用に際しての留意事項はありますか。

2 回答①

 労働基準法においては、労働時間、休日等について規定を設けていることから、使用者は、労働時間を適正に把握する等労働時間を適切に管理する責務を有しています。そして、「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」(平成29年1月20日策定)では、労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置を具体的に明らかにしています。

テレワークを行う場合についても、使用者は、その労働者の労働時間について適正に把握する責務を有し、みなし労働時間制が適用される労働者や労働基準法41条に規定する労働者を除き、上記ガイドラインに基づき、適切に労働時間管理を行わなければなりません。

上記ガイドラインの主なポイントとしては、以下の通りです。

 

テレワーク勤務者の労働時間管理の具体的な方法としては、電子メールによる報告や勤怠管理ツールへの入力等、自己申告によるのが基本になると思われます。

 上記ガイドラインにおいては、自己申告制により労働時間を把握する場合には「自己申告により把握した労働時間が実際の労働時間と合致しているか否かについて、必要に応じて実態調査を実施し、所要の労働時間の補正をすること」が求められるとともに、「特に、入退場記録やパソコンの使用時間の記録等、事業場内にいた時間のわかるデータを有している場合に、労働者からの自己申告により把握した労働時間と当該データで分かった事業場内にいた時間との間に著しい乖離が生じている時には、実態調査を実施し、所要の労働時間を補正すること」が要求されているところです。

 テレワーク勤務者についても、労働時間を自己申告により把握する場合は、PCログ等の記録が存在するのであれば、当該記録と自己申告に係る労働時間を照合し、著しい乖離がないかチェックするシステムを構築することが望ましいといえます。

3 回答②

(1)はじめに

 テレワークにより、労働者が労働時間の全部又は一部について事業場外で業務に従事した場合において、使用者の具体的な指揮監督が及ばず、労働時間を算定することが困難なときは、労働基準法38条の2で規定する事業場外労働に関するみなし労働時間制が適用されます。

 

(2)適用の要件

 「テレワークにおける適切な労務管理のためのガイドライン」(発行時期平成31年1月)によれば、テレワークにおいて、使用者の具体的な指揮監督が及ばず、労働時間を算定することが困難であるというためには、①情報通信機器が、使用者の指示により常時通信可能な状態におくこととされていないこと、②随時使用者の具体的な指示に基づいて業務を行っていないことの2つの要件を満たす必要があります。

ア 情報通信機器が、使用者の指示により常時通信可能な状態におくこととされていないこと(要件①)

 これは、パソコンやスマートフォンを通じて、使用者の指示に即座に対応する義務がない状態であること、さらに言えば、使用者が、労働者に対して随時具体的な指示をすることが可能でかつ使用者からの具体的な指示に備えて待機しつつ実作業を行っている状態や手持ち状態で待機している状態にはないことを指しています。したがって、パソコンやスマートフォンを所持し、上司と連絡が取りあえる状態であったとしても、これらの機器から離れたり通信を切断したりすることが認められている状態や、指示に対して直ちに応じる義務までは課されていないような場合には、要件①を満たすと考えられます。

イ 随時使用者の具体的な指示に基づいて業務を行っていないこと(要件②)

 この場合の「具体的な指示」には、当該業務の目的、目標、期限等の基本的事項を指示することや、これらの基本的事項について所要の変更の指示をすることは含まれません。使用者が逐一進捗状況を確認したり、内容をチェックしたりする場合には、具体的な指示に基づいた業務と判断され、要件②は満たさないことになると思われます。

 なお、みなし労働時間制の要件・判例については、こちらの記事もご覧ください。

https://www.aster-law.net/topics/572

 

(3)効果とその例外

 事業場外みなし労働時間制を適用する場合、テレワークを行う労働者は、就業規則等で定められた所定労働時間を労働したものとみなされます(労働基準法38条の2第1項本文)。

 もっとも、業務を遂行するために通常所定労働時間を超えて労働することが必要となる場合には、当該業務に関しては、当該業務の遂行に通常必要とされる時間を労働したものとみなされます(労働基準法38条の2第1項ただし書)。

 上記の「当該業務の遂行に通常必要とされる時間」については、業務の実態を最もよくわかっている労使間で、その実態を踏まえて協議したうえで決めることが適当であるため、労使協定によりこれを定めることが望ましいです。当該労使協定は、労働基準監督署長へ届け出なければなりません(労働基準法38条の2第2項及び第3項)。

 

(4)労働安全衛生法に基づく労働時間の状況の把握

 事業場外みなし労働時間制が適用される場合、所定労働時間又は業務の遂行に通常必要とされる時間労働したものとみなすこととなりますが、この場合であっても、労働者の健康確保の観点から、「労働時間の状況」の確認が必要となります(労働安全衛生法66条の8の3)。

 

(5)小括

以上で検討したとおり、テレワークにおいて、「事業場外みなし労働時間制」を採用する場合には、適用要件に留意するとともに、労働安全衛生法66条の8の3に基づく「労働時間の状況」の把握が必要となる点に注意が必要です。

 

 なお、テレワークの導入時の就業規則の変更・労働通知書の記載の変更については、こちらの記事をご覧ください。

https://www.aster-law.net/topics/2260

 

 お困りの際は、弁護士法人アステル法律事務所へご相談ください。

https://www.aster-law.net/reservation/

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