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災害・コロナ関連トピックス

2021/01/27   コロナ関連   災害・コロナ関連トピックス  

コロナ対応Q&A(労務編)緊急事態宣言に伴う休業要請下における諸問題

1 設問

新型コロナウィルスの感染者が増加し、緊急事態宣言が再度発令され始めています。

例えば、①当社が所在する都道府県を対象に緊急事態宣言が発令され、休業要請に従って休業した場合も、従業員に対して休業手当を支払わなければならないのでしょうか。

また、②休日振替を利用し、緊急事態宣言の対象期間の営業日を休日に振り替え、対象期間後の休日を労働日に振り替えることは可能でしょうか。

 

2 回答

① テレワーク等の代替手段により休業の回避が可能であれば、休業手当の支払義務が発生する可能性があります。

※ 休業と有給休暇についてはこちらの記事(https://www.aster-law.net/topics/2212)を、自宅待機と休業手当の要否についてはこちらの記事(https://www.aster-law.net/topics/2394)をご参照ください。

② 1週1日の休日を確保すれば、休日振替は可能です(労働基準法35条)。ただし、休日振替により1週間の労働時間が40時間を超える場合は、時間外割増賃金の支払が必要になります(労働基準法37条)。

 

3 解説

【設問①について】

⑴ 緊急事態宣言とは

緊急事態宣言は、新型インフルエンザ等(※新型コロナウィルス感染症も含みます。)が国内で発生し、その全国的かつ急速な蔓延により国民生活及び国民経済に甚大な影響を及ぼし、又はそのおそれがある事態が発生したときに発令されます(新型インフルエンザ対策特別措置法32条)。そして、緊急事態宣言の対象とされた都道府県では、感染者の増大を防止するため、一部の施設に対して休業要請が出されます。あくまで「要請」ですので、これに応じずに営業を継続しても刑事罰等が科されるわけではありません(※令和3年1月時点の情報です)。

しかし、そもそも休業要請下で営業継続することそれ自体に社会的な非難がされることは免れません。また、休業要請下であるにも関わらず労働者を使用して感染者が発生した場合、使用者は労働者の職場における安全と健康の確保のために十分な配慮をすべき義務(安全配慮義務)を負っていますので、この違反を理由に損害賠償請求されるリスクも生じます。

以上より、緊急事態宣言に基づいて休業要請を受けた場合、事実上営業を継続することが困難な場合が多いといえます。

 

⑵ 休業手当支払義務について

それでは、休業要請に従って使用者が事業を休止した場合でも、労働者に対して休業手当を支払わなければならないのでしょうか。

この点につき、労働基準法26条は、「使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の100分の60以上の手当を支払わなければならない」と定めます。

上記の「使用者の責に帰すべき事由」は、民法上のそれよりも拡大した解釈がされています。すなわち、故意・過失にとどまらず、使用者の経営上の障害についても、天災事変等の「不可抗力」に該当しない限りは「使用者の責に帰すべき事由」に含まれると考えられています(この点について「自宅待機と休業手当の要否」(https://www.aster-law.net/topics/2394)もご参照ください。)。

緊急事態宣言に伴う休業要請は外的な要因であり、前記の通り要請に応じずに営業を継続することは事実上困難ですので、一見すると「不可抗力」による休業とも考えられます。

しかし、休業要請を受けている場合であっても、代替手段による営業継続が可能か否かは慎重に検討する必要があります。例えば、在宅勤務(テレワーク)等による休業の回避が可能であったにも関わらずこれを行わなかった場合、使用者が休業回避のためになすべき注意を尽くしていなかった(=「使用者の責に帰すべき事由」)として、休業手当の支払義務が発生する可能性があります。

 

⑶ まとめ

以上より、休業要請が出たとしても、代替手段による休業回避が可能か否かについては慎重に検討する必要があります。

しかし、休業手当の支払義務に関する判断は個別の事情に応じて左右されますので、事前の予測が困難です。また、法的には休業手当が不要だったとしても、労働者が全く給与を得られない状況が継続すると、その後の事業や労使関係に事実上の悪影響が生じる可能性もあります。

そのため、法的義務のみに捉われず、状況に応じて柔軟な対応を行うことが望ましいと言えます。また、休業要請に基づく休業については、行政から給付措置等を受けられる可能性もありますので、そちらもご確認頂くのが望ましいです。

 

【設問②について】

⑴ 休日振替とは

一時的な業務上の必要性から、就業規則上休日と定められた特定の日を労働日に予め変更し、代わりにその前後の労働日である特定の日を休日に変更する措置を「休日振替」といいます。なお、これとの対比で、休日に労働をさせた後に代休日を与えることを「代休」といいます。

労働契約上特定されている休日を他の日に変更することになるので、休日振替を行うには前提として労働契約上の根拠(労働協約や就業規則の定め)が必要になります。

緊急事態宣言が発令された際に、緊急事態宣言の対象期間における労働日と、対象期間後の休日とで休日振替を試みる企業が多く見られました。

 

⑵ 労働基準法35条との関係

しかし、休日振替は、労働基準法35条に定める「1週1日の休日」(変形週休制をとっている場合は「4週4日の休日」)の要件を満たさなければなりません。すなわち、使用者側は週休制の要件に反しないよう、1週間あたり最低1日の休日を確保して振替休日を配置・指定しなければならず、これに反した休日振替はそもそも不可能になります。

また、1週1日の休日を確保したとしても、休日振替により当該週において40時間を超えた時間外労働が発生する場合は、時間外割増賃金の支払を要します(労働基準法37条。また、時間外労働を行わせる前提として、当然に36協定の締結が必要になります。)。

 

⑶ まとめ

以上より、緊急事態宣言に伴う休業要請下における休日振替は全く不可能ではありませんが、「1週1日の休日」の要件に反しないことと、当該週の労働時間が40時間を超過した場合、時間外割増賃金の支払いを要する点に注意が必要です。

以上

 

お困りの際は、弁護士法人アステル法律事務所へご相談ください→https://www.aster-law.net/reservation/

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