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2023/08/18 破産トピックス 破産手続総論
自己破産のデメリット
1 はじめに
他のコラムでも解説した通り、お借入れ等の負債が増大して返済が困難になったとき、自己破産はその解決のための有力な方法の一つです。
しかし、自己破産にはデメリットも複数存在し、負債問題の解決方法として、必ずしも妥当とは言えないケースも多くあります。以下では、自己破産により生じる主なデメリットを紹介します。
2 自己破産により生じるデメリット
⑴ 法律上定められた範囲を超える財産を失うこと
自己破産は単に負債を帳消しにするわけでは無く、ご本人が所有する財産を換価(処分)し、債権者への配当に充てたうえで免責手続に進みます(詳細はこちらの記事を参照してください)。
もちろん、全ての財産を失うわけではありませんが、持ち家や車等の高額な財産は換価されてしまう可能性があります(特に持ち家は、殆どの場合手元に残すのは困難です。詳細はこちらの記事を参照してください)。
保持したい高額な財産がある場合、自己破産は慎重に検討する必要があります。
⑵ 手続後しばらくの間は新たな借入れができなくなること
自己破産した場合、信用情報機関に事故情報(いわゆるブラックリスト)として登録されてしまい、破産手続が終了してから5~10年程度の期間は、金融機関からの新たな借入れは困難になります。これは、車のローンや住宅ローンを組むことはもちろん、クレジットカードの作成・利用も含みます。また、賃貸物件を契約する際にも、家賃保証会社の審査に通りにくくなるおそれがあります。
もっとも、信用情報機関への登録は、任意整理や個人再生でも同様に行われますので、自己破産固有のデメリットというわけではありません。
⑶ 知人・親族が債権者や保証人となっている場合は迷惑をかけてしまうこと
自己破産は、全ての債権者を平等に扱わなければならない手続です。
すなわち、知人や親族の方に対して負債がある場合、破産手続上はその方も債権者として平等に取り扱わねばならず、特別扱いして優先的に弁済することも許されません。
また、ご本人の負債について保証人がいる場合、本人が自己破産をすると、債権者は保証人に請求せざるを得なくなります。このため、場合によっては保証人も債務整理を検討する必要が生じます。
⑷ 自己破産をしたことが官報に公告されること
自己破産に関する事項は裁判所の公告事項とされており、自己破産をした事実は官報(注:国が発行する機関誌)に掲載・公告されます。
一般の方が官報に目を通すことは殆どなく、知人の方に偶然発見されたりする可能性は高くありませんが、注意が必要です。
⑸ 破産手続中は郵便物が破産管財人に転送されること
自己破産手続は、大きく分けて同時廃止手続と管財手続の2通りがあり(詳細はこちらの記事を参照してください)、後者の場合、破産者宛の郵便物は破産管財人に転送され、確認されます。これは、破産管財人にて、破産者の財産や債権者の状況について確認するためです。
⑹ 手続が終了するまで職業制限があること
破産手続開始決定後、破産手続が終了するまでの間は、一定の職業(宅地建物取引士、税理士、生命保険募集人、警備員等)に就くことができなくなり、一時的に資格も停止します。該当する職業に従事されている方はご注意ください。
⑺ 破産手続後7年間は再度の破産手続等は困難であること
破産手続を申し立て、免責許可決定が確定すると、その後7年間は免責不許可事由となりますので、再度破産手続を申し立てて免責許可決定を受けることが困難になります。また、この期間は破産手続のみならず、給与所得者等再生手続を利用することもできません。
免責許可決定を得た後は、同じ手続を繰り返さないよう、真摯な生活更生が必要です。
3 ご家族の方への影響について
自己破産を検討する際、よく「自分が自己破産すると妻が借金を肩代わりしないといけないのか」、「妻の財産まで処分されてしまうのか」、「子供たちまで将来、ローンの審査が通らなくなってしまうのではないか」…等のご不安の声が寄せられます。
しかし、2⑶のようにご家族の方が保証人や連帯債務者となっていれば別ですが、そうでなければ、破産者のご家族であることを理由に債権者に対して責任を負うことはありません。同様に、破産手続で換価されるのはご本人名義の財産のみであり、ご家族名義の財産まで処分されることはありません。
信用情報も個人ごとに管理されていますので、ご本人が自己破産をしたことを理由に、ご家族の方の信用情報にまで影響することもありません。
自己破産によるご家族への影響の典型的なものとしては、ご自宅が持ち家であった場合等に転居の必要が生じたり、車が換価される場合は家族の移動手段が限定されてしまう等が挙げられます。
4 おわりに
自己破産は負債をほぼ帳消しにできる非常に効果の高い手続ですが、その反面、多くのデメリットもあります。支払いに困ったときは安易に自己破産をすれば良いというものでは無く、個別具体的な事情やご本人の要望も踏まえて、ベストな方針を選択する必要があり、この判断には専門的な知識が必要です。
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